2006/10/29
「弱めの数字だが、事前の市場予測から大きく乖離(かいり)したとはいえない」(米国野村証券のデビッド・レスラー氏)。「十―十二月期の成長率は二%台半ばに持ち直すだろう」(グローバル・インサイトのナイジェル・ガルト氏)
米商務省が二十七日発表した七―九月期の実質国内総生産(GDP)伸び率(速報値)は、前期比一・六%と三年半ぶりの低水準にとどまった。ダウ工業株三十種平均はこの日、五日ぶりに反落。先行きに不透明感は残るものの、景気の腰折れを懸念するエコノミストは意外に多くない。
成長鈍化の主因は住宅市場の急速な調整だ。新築住宅販売は七―九月期に前期の三十万件から二十五万件に減少。マンハッタンのコンドミニアムの価格はこの間、約一六%下落した。住宅建設大手のレナーが一割程度の値引きに踏み切るなど、過去五年で五割上昇した米住宅価格は大幅な調整局面に入っている。住宅投資の落ち込み幅は七―九月期に一七・四%と十五年半ぶりの大きさになった。
それでも市場に悲観論がさほど広がらない理由は三つある。第一に、新築住宅の販売が七月を底に八、九月と二カ月連続で増加し、住宅市場の減速に歯止めがかかる兆しが出てきた。第二に、七―九月期の設備投資の伸び率は前期比八・六%増と堅調さを保っている。第三に、GDPの約三分の二を占め、景気動向を大きく左右する個人消費に、住宅減速の影響が懸念されたほど出ていない。
七―九月期の消費の伸び率は前期比三・一%と前期の二・六%を上回った。比較的高額な家電など耐久消費財の購入が伸びている。家電専門店のベスト・バイでは薄型テレビなどが好調な売れ行きを見せており、六―八月期決算は二二%増益と快走中だ。
ロサンゼルス港では年末商戦をにらんで中国からの輸入品が続々荷揚げされている。雇用・所得の安定も消費の追い風となっており、全米のテレビ売上高は十一月以降の三カ月で「前年比二〇―二五%伸びる」(レビン・コンサルティング)と強気の予測も出てきた。
とはいえ、景気が一段と下振れするリスクが払拭(ふっしょく)されたわけではない。住宅価格の上昇をあて込んだ「ホーム・エクイティ・ローン」などの増加が消費拡大のエンジンとなってきただけに、住宅急減速の影がどこまで広がりを見せるのか、なお予断を許さない。
総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは七―九月期に前期のプラス三・三%から同一・八%に低下した。最近のガソリン価格の下落は消費の下支え役となるが、あくまでも原油価格の落ち着きが前提条件だ。
米連邦準備理事会(FRB)が二十五日、米連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表した声明で指摘したように、米スペースコレクション経済は今後、緩やかなペースで拡大を続けるのか。景気失速を回避する「軟着陸」シナリオの成否はFRBの金融政策のカジ取りにもかかってくる。
「弱めの数字だが、事前の市場予測から大きく乖離(かいり)したとはいえない」(米国野村証券のデビッド・レスラー氏)。「十―十二月期の成長率は二%台半ばに持ち直すだろう」(グローバル・インサイトのナイジェル・ガルト氏)
米商務省が二十七日発表した七―九月期の実質国内総生産(GDP)伸び率(速報値)は、前期比一・六%と三年半ぶりの低水準にとどまった。ダウ工業株三十種平均はこの日、五日ぶりに反落。先行きに不透明感は残るものの、景気の腰折れを懸念するエコノミストは意外に多くない。
成長鈍化の主因は住宅市場の急速な調整だ。新築住宅販売は七―九月期に前期の三十万件から二十五万件に減少。マンハッタンのコンドミニアムの価格はこの間、約一六%下落した。住宅建設大手のレナーが一割程度の値引きに踏み切るなど、過去五年で五割上昇した米住宅価格は大幅な調整局面に入っている。住宅投資の落ち込み幅は七―九月期に一七・四%と十五年半ぶりの大きさになった。
それでも市場に悲観論がさほど広がらない理由は三つある。第一に、新築住宅の販売が七月を底に八、九月と二カ月連続で増加し、住宅市場の減速に歯止めがかかる兆しが出てきた。第二に、七―九月期の設備投資の伸び率は前期比八・六%増と堅調さを保っている。第三に、GDPの約三分の二を占め、景気動向を大きく左右する個人消費に、住宅減速の影響が懸念されたほど出ていない。
七―九月期の消費の伸び率は前期比三・一%と前期の二・六%を上回った。比較的高額な家電など耐久消費財の購入が伸びている。家電専門店のベスト・バイでは薄型テレビなどが好調な売れ行きを見せており、六―八月期決算は二二%増益と快走中だ。
ロサンゼルス港では年末商戦をにらんで中国からの輸入品が続々荷揚げされている。雇用・所得の安定も消費の追い風となっており、全米のテレビ売上高は十一月以降の三カ月で「前年比二〇―二五%伸びる」(レビン・コンサルティング)と強気の予測も出てきた。
とはいえ、景気が一段と下振れするリスクが払拭(ふっしょく)されたわけではない。住宅価格の上昇をあて込んだ「ホーム・エクイティ・ローン」などの増加が消費拡大のエンジンとなってきただけに、住宅急減速の影がどこまで広がりを見せるのか、なお予断を許さない。
総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは七―九月期に前期のプラス三・三%から同一・八%に低下した。最近のガソリン価格の下落は消費の下支え役となるが、あくまでも原油価格の落ち着きが前提条件だ。
米連邦準備理事会(FRB)が二十五日、米連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表した声明で指摘したように、米スペースコレクション経済は今後、緩やかなペースで拡大を続けるのか。景気失速を回避する「軟着陸」シナリオの成否はFRBの金融政策のカジ取りにもかかってくる。
