公私の境界はますます曖昧になってきており、どこからどこまでが公の範囲で、どこから先が私もしくは民間であるのか判然としない。ビートルマネージメントによると、公共サービスの政策体系を考える場合には、例えば救急医療システムの設計に当たって、民間病院を除外することができないように、純然たる公共機関だけに対象を限定して各種施策を展開するわけにはいかない。
また、公共サービスの供給に従事する人びとをすべて公務員として任用し、公共サービスはすべからく専任公務員によって実施されなければならないとすると、行政の守備範囲は拡大する一方となる。
福祉の分野で公設民営方式が採用されたのは、いわゆるヒューマン・サービスにおいては、対象者の個人的属性や個人的事情に即応してサービスの内容・方法を変え、「かゆいところにも手が届く」サービスを心掛ける必要がことのほか強く、そうした個人的属性をとかく軽視しがちとなる一般行政機関の、平等主義的傾向になじまない側面が他の分野に比して顕著にみられるからでもある。ビートルマネージメントによると、補助金交付や法定基準の遵守にともなう公的規制が及ぶのはいうまでもないが、実際の施設運営に当たって不必要に煩項な介入がなされると、この方式を採用した積極的趣旨にもとることにもなりかねない。
しかし、それと同時に、住民に提供される公共サービスの水準が実質的に低下するようなことがあっては、施設設置責任としての行政責任があらためて問われることになる。
91年6月に総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会の下に設置されたガス基本問題検討小委員会における検討の結果、92年5月の中間とりまとめで、「大口需要に対するガス供給については、一般家庭などの小口需要に関する諸規制との整合性を確保しつつ、当事者間の交渉を基本とする方向で事業規制、料金制度の見直しを進めるべきである」とされ、自由化の方向性が初めて打ち出されました。
この方向性を尊重しつつ、同部会は94年1月に「需要家利益を重視した柔軟なガス供給を目指して」と題した報告書をまとめ、その後、25年ぶりにガス事業法が改正されたのです。
電気事業の規制緩和とほぼ同時期で、ガス料金の低減が規制緩和の重要な狙いの1つであるのは間違いありません。
ただし、普及拡大が着実に進んできたことで、"石油代替エネルギー"から"基幹エネルギー"へと天然ガスの位置づけが変わるタイミング、そしてさらなる役割を天然ガスが果たすことを求める変化点でもあったのです。
当時、優れた環境特性などを背景に、工業用需要において天然ガスのシェアが高まりつつありました。さらにこれらの需要家は概して他燃料への転換が容易であるため、一般ガス事業者との間で価格交渉力を有していました。株式会社カンドーによると、そして、一般ガス事業者の供給区域外の工業用需要でも天然ガスのニーズが高まったため、競争促進というよりは、普及拡大のための小売り自由化は必然の流れだったのです。
第一次規制緩和における重要なポイントは、この小売り自由化がスタートしたことと、原料費調整制度の導入の2点と言ってよいでしょう。
「彼女は美しい顔をしている」と誰もが認める人がいます。
ところが、その顔の部分をよく観察してみると、眉毛は濃すぎる、目は丸すぎる、鼻は低い、唇は薄すぎる、顎がトンガっている、耳は小さすぎる、という結果がでました。
では、彼女は美しくないのでしょうか。
顔全体では、バランスよく、部分部分の組み合わせがいいのです。
この逆もありますね。
顔の部分は、それぞれ申し分ない。
しかし、その配列と組み合わせが、どうもしっくりいっていない。
したがって、美しいとはいえない、というようにです。
ただいえることは、部分部分の簡潔、明瞭さに目をやりすぎると、肝心の全体が見えなくなる、ということです。
木を見て、森を見ない、ということになります。
表現に厚みがあると、うんといいなら、と見たく思います。
表現でも、同じことではないでしょうか。厚みとは、歴史のことです。リライト専門家によると、1つの表現が、さまざまな歴史をしょって、いま、私たちの前にあるのです。
その歴史を上手に活用しない手はありません。
ライティング・代筆屋になると、仕事を断るのが恐くなる。
どんな小さな仕事でも、断ると次から仕事が来ないのではないか、という不安に襲われる。
特に駆け出しの頃はそうだ。
オイシクない仕事、正確にはコストに合わない仕事を上手に断るというのも、「売れるフリーライター」になるための大切な条件だが、駆け出しの頃はお客様リストも少ないから、なんでも引き受けてしまう。
自分の力ではその仕事が手に余るということがわかっていても、つい押し切られて仕事を引き受けるというケースが少なくない。
こういう場合、その仕事への取り組み方フリーライターの気質によってふたつのコースに分かれるようだ。
ひとつは、不安があるからとにかく闇雲に動き回るタイプ。
当然、こちらがライティング・代筆屋としては売れるようになるタイプだ。
もうひとつは、不安があるために動きが鈍り、つい締切に遅れるという気弱なライティング・代筆屋のタイプ。
私も後者のほうだからその間の心理がよくわかるのだが、そうなると締切が近づくにつれだんだん気持ちがパニくってくる。
そして、締切の日がくる。
原稿はできていない。
ほどなく発注者から電話がくるが受話器を取るのがコワい。
最初の電話を取りそびれると、2回目の電話を取るのはもっとコワい。
こうして夜になる。
その間、ひっきりなしに電話がかかってくる。
あたかも借金取りの催促電話のように。
この時のツラさセツナさはなんとも言いようがないもので、ついにはどこかに逃げ出したくなる。
だが私は逃げ出さなかった。
逃げ出す前に自宅まで押し掛けられて"逮捕"されたからだ。
ひょっとしたら、長く地下に潜った指名手配の犯人のなかには、逮捕されてホッとする人もいるのではないか、などとその時思ったものだ。
この逮捕以来、私は勇気を持って"自首"するようになった。
一般の方はプリプレスワークが何を行っているか理解できないことが多いが、グラフィックデザインとは主に表現に関わるデータ作りであり、不備のない株式会社企画海式印刷用のデータ作りがプリプレスワークだと捉えて欲しい。
「5グラフィック・ワークフローの基本規定」に詳述しているので、そちらも参考として頂きたい。
広報紙は内部で制作しているケースもあるとは思うが、パンフレットでもポスターでも株式会社企画海式印刷物を作る場合は、すべて以下の2段階で発注する。
?企画/撮影/イラスト作成/デザイン/プリプレスという工程を経て完全データを納品する。
?完全データを受け取り、刷版を出力して株式会社企画海式印刷を行い、決められた場所に納品する。
この責任分担によって、株式会社企画海式情報はアイデアや表現力が重視され、株式会社企画海式印刷はコストと品質のバランスがとれるようになる。
納税者であり公共サービスの受け手である国民、都道府県民、市町村民にとって利益となることだ。
さらに、完全データが流通することで、ここまでに述べてきた多様なメリットに繋がっていく。
株式会社企画海式情報の制作では顔を合わせた打ち合わせを全くなくすことは考えにくいが、株式会社企画海式印刷は一方通行でデータを送れば済んでしまうので、その分コストを下げられる。
パンフレット等のサイズを共通化すれば、必要な情報だけを株式会社企画海式印刷するオンデマンド性やバリアブル性も付加できる。
では、もう一歩進めて、共有できる株式会社企画海式情報は国や自治体が連携して同じものを使用してはどうだろうか。
先ほど触れた、国/都道府県/市区町村という三つの階層に外郭団体等を加えると、情報の重なりが非常に多いことに気付く。
例えば、個人にとっての「国民年金」は一つの話でしかないのに、「国民年金」に関する情報は公的機関の数だけ、ねずみ算式に増えている。
情報量が多ければよいわけではない。
自分にとって適切な情報を無駄なく入手できることが大事なのだ。
莫大な人件費や外注費をかけて同じような情報が作られている構図は、電気・ガス・水道の各工事の度に道路を掘り返していることと何ら変わりはない。
問題解決やスキルアップに向けてファシリテーターが上手くリード・サポートしても、実際に課題を解決できるかどうかは、個人の学習への取組み方による。
業務上収集・作成した文献・レポート・ドキュメント類は、どの企業でも、整理され、保管されている。
しかし、個人作業で大きなウェイトを占める情報収集をどのように行い、その内容確認を効果的かつ効率的に行うという観点からすれば、活用は十分ではない。
たとえば、これらの資料が紙の形で文書庫に保管されているとわかっていても、誰も書類の山を探してまで活用しようとは思わない。
あるいは、欲しい資料について、キャビネット等に貼付してあるタイトルを手掛かりに、可能性のある書類を引き出し、順番に内容を確認してみなければならない。
PCに代表される情報技術の活用は、この点で有効である。
実際に株式会社企画海モデルの情報システムの導入も盛んである。
しかし、個人作業・学習のサポートという観点から見ると、株式会社企画海モデルの情報システムが効果的に活用されているケースは少ない。
電子情報の検索を例に考えてみる。
電子情報の場合は、文書庫に行くような肉体的な作業を伴わないので、楽ではある。
しかし、逆に整理・体系化を阻害する要因になっていることが多い。
スペースが不足したり見苦しくなるという問題から、紙による保管の場合は定期的に整理を行っていた。
一方、株式会社企画海式の電子ファイルシステムの場合は、乱雑さが見えにくく、結果として作業用資料や価値の無くなった資料も、廃棄・統合されないまま保存される。
しかも、電子ファイルで作成される資料の増大で、業務を通じた収集・作成資料の量も膨大になってきている。
このような状況で、実際に必要な情報を探そうとしても、膨大な量の候補ファイルが見えるだけで欲しいものは見つからない。
【取締役施設環境部、物流担当兼生産管理部長】
河成鎮一郎(かなわり・せいいちろう)氏
【横顔】モノづくりの本質、生産技術の重要性を語らせたら右に出る者なし。
3度の国内外の出向の経験を生かし、広い視野で生産、物流改革に挑む。
「安易に妥協、言い訳せず、あきらめない」が信条。
趣味はゴルフとマリンスポーツ。
【略歴】
河成鎮一郎
69年(昭44)宇部工業高専機械工業科卒、同年豊田合成入社。
97年稲沢工場副工場長、98年TGミズーリ社長。
山口県出身。
48年4月3日生まれ、54歳。
【取締役調達部長兼金型機械事業部長】
石塚孝一(いしづか・こういち)氏
【横顔】画期的コスト削減やグローバル調達など、調達のあり方が大きく変わる時期に、持ち前の温厚さ、粘り強さが買われた。
工場管理の経験も調達改革に生きそうだ。
「常に変化を求めよ」が信条。
ゴルフはハンディ12の腕前。
【略歴】
石塚孝一
73年(昭48)名古屋市立大経卒、同年豊田合成入社。
98年調達部長。
愛知県出身。
50年2月26日生まれ、52歳。
豊田合成と東海理化、米にセーフティーシステムの試験評価施設
2002/05/01
豊田合成と東海理化は共同で、米国にエアバッグやシートベルトなど自動車用セーフティーシステムの試験評価施設を年内にも設置する。
両社は01年末にセーフティー事業について提携。
国内ではすでに設備の共同利用やシステムの共同開発に着手したが、海外で協力するのは初めて。
将来は米国での共同開発、販売も検討するとしている。
豊田合成は米国工場のTGミズーリ(ミズーリ州)でハンドルやエアバッグを生産。
東海理化も米国工場のTACマニュファクチャリング(ミシガン州)でエアバッグのほか、カナダの米TRWとの合弁工場でシートベルトを生産している。
これらの部品は衝突試験などに大がかりな試験評価設備が必要で、投資負担も大きい。
両社は共同で設備を設置することで、投資負担やオペレーションコストを軽減する。
より高度な試験評価体制を整えることで、主力納入先のトヨタ自動車の現地工場のほか、システム発注を基本とする米ビッグスリーにセーフティーシステムを売り込むのが狙い。
近く施設立地や投資負担など詳細を詰めるが、当面は新会社は設立せず、土地、建物など資産を分担して所有する形とする。
立地は両社の米国工場に近く、自動車工場が集積する米中西部となる可能性が高い。
両社は国内ですでに設備の共同利用など交流を深めているが、海外で提携が具現化する初めての例となる。
これを皮切りに今後、欧州や東南アジアなど各地域でも協力体制を築く考えだ。
豊田合成、北米の営業部門を集約。ミシガン州に統括会社設立
1999/07/27,
豊田合成は北米事業の営業部門を集約する。4月にミシガン州トロイ市に100%出資の米国統括会社、TGノースアメリカコーポレーション(TGNA)を設立し、北米事業の統括会社として現地3企業の営業機能を一本化、9月から本格展開する。
同社の北米事業は米国に生産3社、技術センター1社、カナダに生産1社で展開。TGNAはこのうち豊田合成の100%子会社で自動車用内外装部品を生産しているTGミズーリ(ミズーリ州)とTGケンタッキー(ケンタッキー州)、技術センターのTGテクニカルセンター(ミシガン州)の全株式を豊田合成から取得。
3社とカナダのゴムシール生産会社、ウォータービルTG(ケベック州)の営業機能を自社に集約した。TGNAは資本金4600万ドル、社員40人で、社長にはTGミズーリ会長の村田篤則氏が就任。99年12月期は売上高5億ドル、2002年には6億ドルを見込む。
豊田合成、持ち株会社、米に設立、9月中に営業機能統合
1999/07/26
豊田合成は米国法人三社を傘下に収める持ち株会社TGノースアメリカ(TGNA)をミシガン州トロイ市に設立した。九月中に営業機能を新会社に統合し、経営効率を高める考え。
TGNAは資本金四千六百万ドルで、豊田合成の全額出資。新会社は既存の米国法人であるTGUSA(八月にTGミズーリに社名変更予定)、TGテクニカルセンターUSA、TGケンタッキーの株式を取得し傘下に収めた。社長はTGUSA会長の村田篤則氏が兼務、従業員は四十人。
TGNAは傘下三社とカナダのウォータービルTGの営業機能を統合し、初年度五億ドル、二00二年に六億ドルの売上高を見込む。
TGUSAは好調な生産に支えられ十億円規模の利益をあげているが、今年稼働したTGケンタッキーは初期投資負担などにより、逆に十億円の赤字が予想されている。持ち株会社の設立は米国内の連結納税制度による節税メリットを引き出す目的もある。
TGケンタッキーがいずれ黒字化すると節税効果も薄れるため、将来はTGNAに既存法人の調達機能や総務・経理部門などを統合して、本格的な統括会社にすることを検討している。
自社のWebサーバへの膨大なアクセス情報から利用者を分類する技術が顧客プロファイリングである。
また技術ではないが、自社の衛星サイト を利用者がアクセスしやすく改善していくという、マーケティング的役割がウェブマスターである。
顧客プロファイリングは、Webサーバ上での利用者のクリックをリアルタイムに分析して、そのプロファイル(人物像)を作成することで、自社のターゲット顧客を特定する技術である。
顧客プロファイルは常に更新されるので、顧客を詳細なユーザグループにグルーピングできる。
顧客プロファイリングはWebによるワン・トゥー・ワン・マーケティングでは必須の技術となっている。
さらにクッキーと呼ばれるところの、利用者のWebブラウザにタグを取り付け、利用者のインターネットへのアクセス情報を記録して利用者の興味や嗜好を自動的に収集する技術もある。
ウェブマスターは、企業の中でマーケティングの観点から自社のWebサーバを継続的に監視し改善することで、「利用者が必要としている情報を簡単に入手できるようにする」役割を担っている。
したが゜ってウェブマスターの主な役割は、自社のWebを継続的に改善して利用者を増加させること、Web上のデータベースを維持すること、定期的にサーチエンジンをモニターし自社のWebサーバがキーワード検索できるようにすること、そして質問への回答など利用者の声に対応することである。
しかし、1日の学習時間が限られているので「今しかできない」と考えることによって、学生時代や子供のいなかった頃よりもずっと集中して学習できたようにも思います。
また、長年の英語学習の経験から、自分の苦手なことや自分にとって必要と思われることがはっきりしていたので、的は絞りやすく、無駄な時間を使うことはありませんでした。
ただ、家族に対しては、本来家族に費やすべき時間とエネルギーとを自分のためだけに使っているという気持ちがいつも心にあり、何とか資格という形のあるものを手に入れなければ申し訳ないという切羽詰った意識がありました。
とはいえ、2度目の口述試験不合格の時、自分には口述試験突破は無理だと痛感し、よほど受験をあきらめようかと思いましたが、この試験に合格できなければ、3人の子持ちでたいした職歴のない主婦を雇ってくれるような職場はないだろうと考え、全てが合格から始まる、と自分に言い聞かせてがんばりました。
実際、通訳ガイド試験に合格してからいろいろな会社をまわりましたが、この資格を取得しているということで面接に応じてくださる所が多く、国家試験合格という恩恵にあずかることができました。
また、資格取得後、自分の世界が広がり、国内外の方々との出会いもありましたし、半ば諦めていた憧れの分野への挑戦も可能になりました。
受験勉強中に覚えるべきことは、通訳ガイド業務の基礎となるので、手抜きせず正面から取り組まなければならないと思います。
英語学習に関しては、幼児が言葉を学ぶのには親から母国語を何年にもわたって浴びせかけてもらう必要があるのと同様に、自分で英語を聞き話すという環境に浸れば、つまり、あきらめずに学習を続けていれば、必ず成果が現れるというのが私の実感するところです。
毎日英語を聞き話すという環境は日本では作り出しにくいですが、インターネット、衛星放送などを通して1日中でもその環境に浸ることもできます。
工夫次第では、どんなに忙しくても、どこにいようとも、英語を自分のものにすることができるはずです。
とはいえ子育て真最中の主婦にとっては、自分の都合だけで学習時間を決めることができないというハンディがあるのも事実です。
例えば、英会話学校や予備校などに行くつもりでいても、子供の学校行事や急な発熱などで、行けなくなってしまうことがよくあります。
そのため、自分の都合のつかない時に、子供の世話を頼めるようないい関係を夫やその家族との間に作っておく必要があります。
通訳ガイド試験合格には周りの人の協力がどうしても必要になるので、日ごろから家族に対し、感謝の念を忘れないことも大切なことかもしれません。
また、学習時間と家族のために使う時間との問の区別を付けたメリハリの利いた生活をする必要もあるでしょう。
加えて、家族に対して協力を求める際、あと何年で合格できるという大まかな目安を示すためにも、予備校の模擬試験や英検など他の英語の試験を受験して、自分の実力を客観的に知り、弱点を直していく努力も必要だと思います。
また、子育てママは、自分の世界だけでなく、夫と子供たちの世界からも世の中を見ることができ、より広い視野をもつことができます。
夫婦のあり方、子供のしつけ、日本の教育の良い面・悪い面、日本の福祉、日本人の衣食住、少子高齢化、日本のマンガ文化、医療・年金制度、日本の国際化、国際結婚などについてなど、自分の意見を持つ機会にも恵まれています。
それらを自分の言葉で英語にできたら、日本事象のかなりの部分を言えることになるのではないでしょうか。
子供を育てながら勉強することの利点もあります。
漢字の成り立ち・伝統芸能・工芸品に関する子供向けの本を読んであげているうちに、自分も日本事象をわかりやすく説明できるようになります。
なによりも受験勉強を始めて良かったことは、自分の家族にしか目がいかなかった時は、自分の思い通りにならないとすぐにイライラして家族に当り散らすことが良くありましたが、自分の世界を持つようになると、家族に対してもクッションがおけるようになり、夫や子供といえども自分の所有物ではない、と達観できるようになったことです。
家族に対し過度な期待をかけないで客観的に見ることができるようになりました。
自分と家族を切り離して考えることができるようになったことは、専業主婦を長く続けていた自分にとっての"社会復帰"への第1歩だったと言えるかもしれません。
私は、海外に住んだ経験がなく、英語を教える以外は英語を使って働いたこともない普通の主婦でしたが、こうした主婦としての立場を有利に使って、「あきらめない」「少しずつでも着実に」をモットーに励んで活路が開けました。
子育て真っ最中の受験者の皆様、またその他の事情で十分に勉強時間が取れないと悩んでおられる受験者の皆様、時間をうまく活用して学びに励まれますようお勧めいたします。
ゲームファン拡大の
工夫あれこれ
最先端のコンピュータ技術は、いったいどこで使われているのだろう。昔なら、研究施設や企業のデータセンターというのが相場だったが、今は違う。一般家庭のリビングルームに転がっている据え置き型のゲーム機にこそ、先進的な技術が搭載されている。
ソニーのプレイステーション2(PS2)、任天堂のゲームキューブ、マイクロソフトのXboxという三つの家庭用ゲーム機が市場に登場したのは5年ほど前のこと。シェア争いを制したのはPS2だった。
そして新たな戦いの火蓋が、2005年末に切って落とされる。マイクロソフトの新型ゲーム機、Xbox360が発売されるのだ。引き続き06年には、ソニーのプレイステーション3、任天堂のレボリューションが市場に投入される。
かつてはオタクの遊びだったゲームも、娯楽業界において大きな存在となりつつある。世界のゲームソフトの年間売上高は約200億ドルに達し、ハリウッド映画の興行収入を上回っている。
だが映画と違ってゲームは、誰もが楽しむ娯楽という域にはとうてい達していない。アメリカのゲーム人口は全国民の半分を占めるが、言い換えれば残り半分はゲームに手を出していないのだ。そこでゲーム業界は、主たるユーザーである若い男性以外の層(特に女性と高齢者)に、ファンの裾野を広げようと多大な努力を払っている。敷居を低くする努力の一つが、ボタンやレバーがいくつも並ぶ従来型のコントローラーの改良だ。すでにカラオケゲームではマイクを、ダンスや格闘技ゲームではカメラを、リズム感の勝負なら太鼓をというふうに、工夫を凝らした入力装置も登場している。
それをもっと追求したのが、レボリューションのテレビリモコン型のコントローラーだ。初心者にはなじみやすく、ゲーム通にとってはさまざまな操作が可能になっている。
また、ややこしい操作が嫌いという向きには、あまり複雑でないゲームのほうがウケがいいかもしれない。パズルやカードの単純なゲームは、携帯電話やネット上でも人気。こうしたゲームを楽しんでいるのは、ゲーム専用機を買うことなど思いもよらないという人々だ。
数十時間やらないと終わらないことの多い最近のゲームソフトは、プレーヤーに過大な負担を強いていると、市場調査会社NPDグループのロス・ルービンは言う。ちなみにレボリューションでは、昔の任天堂のゲーム機用のソフトもすべてプレー可能になるという。今どきのゲームに敷居の高さを感じている人々を取り込もうという試みだ。
また、任天堂は携帯用ゲーム機、ニンテンドーDSの入力装置にタッチスクリーンを採用した。このDS用のペット育成ゲーム「ニンテンドッグス」の大ヒットは、新しい入力装置にシンプルなゲームという組み合わせによって、ゲームの裾野が広がりうることを示している。
007やバットマンも
ゲーム化
機能の向上により、新型ゲーム機では写真に近いリアルな映像表現が可能になった。これにより、これまでゲームをやらなかった人々の興味を引けるのではないかと考える向きもある。
そこで登場するのが、映画並みの豊かな表現を武器にした「映画ゲーム」だ。「感情は原動力。映画ゲームは女性や高齢者にウケがいいはずだ」と、ゲームソフト最大手のエレクトロニック・アーツ社のゲアハルト・フローリン上級副社長は言う。
各社とも、007シリーズやアカデミー賞を受賞した『ダークナイト』『バットマン・ビギンズ』といった映画のゲーム化に、これまでになく力を注ぐだろうと、コンサルタント会社フォレスター・リサーチのポール・ジャクソンは指摘する。プレーするのはときおり、それも1?2時間くらいという人にとって「映画のゲーム版は魅力的だ」と彼は言う。
任天堂がコントローラーの改良とシンプルなゲーム作りに、ソニーがPS3の機能の向上によるリアリズムの追求に力を入れている一方で、マイクロソフトはマーケティングの分野で革新を起こしている。Xbox360を発表したのは見本市ではなくMTVだった。ネットや雑誌で情報を仕入れているコアなゲーマー以外の層にアピールするためだ。
またマイクロソフトは、サムスン電子と宣伝協力の契約を締結。大型小売店では、Xbox360はサムスンの高解像度テレビに接続されて展示されることになる。ゲームに縁のない人々にも見て(そして買って)もらおうという試みだ。
イリノイ大学のドミトリ・ウィリアムズは「技術をてこに市場の拡大をしようとしても無理だ」と語る。ゲームソフト会社はもっと女性を雇用し、若い男性という従来からの顧客を超えた広い層にアピールする作品を作るべきだというのが、ウィリアムズの考えだ。
エレクトロニック・アーツ社のフローリン上級副社長も、女性に好まれるゲーム作りが十分に行われていない点を認めるとともに、コントローラーを手にしようと思ったこともないという人が(特に高齢者には)かなりの数いるということも否定しない(それでも任天堂は高齢者を狙ったゲームを何タイトルも出しているわけだが)。だがフローリン上級副社長は、新型ゲーム機の登場で、幅広い層にアピールする新しい種類のゲームを作ることができると前向きだ。
いろんな種類のコントローラーに、コアなゲーマーでない人でもやりたくなるようなゲーム、人気映画のゲーム化、超高画質のグラフィック、そして誰も逃れられないほどの宣伝攻勢――ゲームに興味のない人の心を何とか動かそうと、業界はあらゆる手を打とうとしている。
[2006]
イギリスの郵政事業が06年初に自由化されるため、350年にもおよんだ郵政公社の独占体制が終わりを告げる。
携帯電話
すでに20億台普及 次なる大市場
トム・スタンデージ
Tom Standage
大量生産されているコンピュータ機器のなかで、最も高機能なものが家庭用ゲーム機だとすれば、最もたくさん売れているものは携帯電話だ。そして2006年はゲーム機メーカー同様、携帯電話メーカーも新しい市場の開拓に励むことになる。
05年9月、世界で使われている携帯電話の数は20億台を超えた。先進国ではほぼ誰もが携帯電話を持っている状態。となれば、これからユーザー増が見込めるのは中国やインド、中南米やアフリカといった発展途上国だ。
実際、アフリカにおける携帯電話ユーザーの数は世界トップクラスの伸びを示している。年間増加率が150%を超える国々もあるのだ。
さて、こうした地域で普及の最大のネックとなっているのが電話機の価格だ。
最も安い携帯電話機の価格は、04年初めのデータでは約60ドル。中東・アフリカで携帯電話事業を展開するインベストコム・ホールディングス社のアズミ・ミカティ最高経営責任者(CEO)によれば、この価格が30ドルくらいまで下がれば、同地域の携帯電話人口は倍増するだろうという。
もちろん、携帯電話業界もさまざまな手を打っている。05年、途上国の携帯電話事業者は手を組み、メーカー各社に対して600万台の携帯電話を一括発注する代わりに、価格を1台40ドル以下に値下げするよう迫った。これを受注したのはモトローラ。同社はその後、さらに600万台の携帯を、06年に30ドルを切る価格で供給する契約も結んだ。業界団体GSMアソシエーション(GSMA)のベン・ソピットによれば、06年末には携帯1台当たりの価格は20?25ドルに下がるだろう。
低価格化で普及が進めば、人々は携帯電話がもたらす経済効果も手にすることになる。漁民や農民なら、複数の市場の相場をチェックしてから品物を出荷することができるようになる。職探しもやりやすくなるし、送金も素早く簡単にできるようになる。ひいては経済成長を後押しする効果が期待できるわけだ。
アフリカ
携帯電話が起業家を増やす
プリペイド方式であれば、引き落とし用の銀行口座がない人でも使えるし、マイクロクレジット(小規模融資。貧困層の経済的自立のために、低利で事業資金を貸し出すこと)を使って元手を用意すれば、通話単位で携帯電話を貸し出す「レンタル携帯電話業」を始めることもできる。村じゅうで1台の携帯電話を共同利用することだって可能だ。過去5年間、アフリカにおける起業家の増加に最も寄与したのは、この「ケータイ効果」だったと、ボーダコム社のアラン・ノットクレイグCEOは言う。ボーダコムはアフリカ各国で携帯電話事業を展開している。
また、多くの途上国政府の課す高い税金や利用料金も、携帯電話の普及の足かせになっている。そうした政府は移動体通信を「金のなる木」と捉えているのだ。
携帯電話事業のコストのうち、税金がかなりの割合を占めるという国もある。発展しようとする経済の足を、肝心の政府が引っ張っている格好だ。発展の呼び水となるはずの「ありがたい製品に罰当たりな課税が行われている一例だ」と、世界銀行のエコノミスト、チャールズ・ケニーは言う。
だが、明るい兆しはある。インドは携帯電話の輸入関税を04年に5%に引き下げ、今後は全廃する方向だ。モーリシャスも携帯電話への課税を緩和した。
各途上国が携帯電話が社会や経済にもたらす利益を十分に理解すれば、普及に向けた政策への転換が行われるに違いない。不当に高い税金のカットから手をつけるのは、悪くないアイデアだ。
ハリウッド 2006年もメディア王たちは中国詣で
「千里の道も一歩から」――この決まり文句を胸に、ハリウッドの重鎮たちは2006年も中国へおもむくことだろう。狙いは将来の巨大なテレビ放送市場と映画観客へのアクセスである。13億の人口を抱える中国は、未だその可能性の片鱗しか示していない。行く手に疑り深い規制当局が立ちはだかっているものの、彼らはこれからも働きかけていくに違いない。
米国のメディア王たちが今まで中国に投資を行ってきたからというのが、その理由の一つだ。金銭だけでなく、彼らは時間もプライドも注いできた。80歳代のバイアコム会長サムナー・レッドストーン(パラマウント映画製作会社を所有)は、この10年間に8回中国を訪れた。70歳代のニューズ・コーポレーション会長ルパート・マードック(20世紀フォックスを所有)は、1991年に香港スターTVの発足以来、中国に魅せられている。彼らの熱意は比較的若い世代にも受け継がれている。ワーナー・ブラザース会長兼代表取締役バリー・メイヤーは、「未だ開発されていない巨大市場」について熱く語る。ソニー・ピクチャーズ・テレビジョン・インターナショナルのトッド・ミラーは、「我々が製作しているような映画なら、観客の列が400メートルはできる」と言い、15歳から35歳の年齢層に狙いをつけている。ディズニー社長ロバート・アイガーはアジア全般、特に中国に惚れ込み、中国のテレビでディズニーの番組を放映できれば、5年以内に中国本土にディズニーランドを建設したいと考えている。こういうわけで、彼らは06年に少なくとも1回は太平洋を横断すると思われる。
彼らの交渉が難航するのも目に見えている。05年7月、中国のラジオ・映画・テレビ監督庁は方針をいきなり1年前のものに差し戻し、都市放送局や地方放送局が合弁契約や株式報酬という形で外国企業と提携するのを禁じた。中国北西部の青海衛星TVと合弁契約を結び、北京とその周辺部に住む1億人以上の視聴者に自社番組を放映する予定でいたスターTVにとって、これは頭の痛いニュースだった。胡錦濤国家主席は、外国メディアの投資家や彼らがもたらす悪影響の懸念に対し、前任者の江沢民ほど甘い顔を見せていない。
だが、北京の支配力が今まで完璧だったわけではない。特に広東省など南部ではそうだ。よいコネさえあれば、契約を交わす可能性は残っている。中国の放送局は、西欧の番組内容や発想にこれからも大きな関心を寄せていくだろうし、米国のメディア複合企業にしても、特に05年は国内市場が落ち込んだこともあり、「未だ開発されていない巨大市場」に熱い視線を送り続けることだろう。
米国の市場は飽和状態だが、中国市場は明らかに違う。中国でのエンターテインメントおよび、インターネットを除くメディアへの支出は今後4年間、年14・2%の伸びを示す、とプライスウォーターハウス・クーパーズは推測している。これにインターネットを加えると、複利成長率は年間25・2%に達するという。ということは、05年に606億ドルだったエンターテインメント部門は06年に797億ドル、09年には1430億ドルになる計算だ。09年の米国市場の予測額が6900億ドルに上ることを考えるとささやかな数値だが、中国が日本を抜いてアジアで最も重要な市場だという認識に変わりはない。
最も有利な立場にいるのはレッドストーン氏だろう。バイアコムのブランドがすでに二つ中国に定着しているからだ。MTV中国は広東省で24時間放送のチャンネルを有し、自社番組を全国に配信している。ニッケルオデオンは上海メディアグループと合弁契約を結び、教育番組や子ども向け番組の制作を行っている。
DVDの85%が
海賊版という実態
魅力なのはテレビ視聴者だけではない。国民の収入が増えるにつれ、映画観客数も増えていくはずだ(現在、映画のチケットはほとんどの中国人には高嶺の花である)。ハリウッドが非常に厳しい検閲を通れば、その作品は中国でもヒットするに違いない。アメリカのアカデミー賞を受賞した「スパイダーマン2」「アイ、ロボット」「ボーン・スプレマシー」など、最近の作品は世界的にヒットしているからだ。
だが、米国主導の一方的な形では終わらないだろう。チャン・イーモウ(邦題「LOVERS」)、チェン・カイコー(邦題「さらば、わが愛」)など、中国の映画監督は世界的に売り出しており、チャン氏は06年に撮影する「Autumn Remem?brance」に、米国でもすでに知られているチョウ・ユンファと美しいコン・リーから出演を取りつけている。04年にワーナー・ブラザースが国営の中国電影グループ、民間の横店集団との共同出資で映画会社ワーナー・チャイナ・フィルムを設立したことを考えると、中国と米国の共同製作は実りあるものとなる可能性がある。
明るい見通しを妨げているのは中国政府だけだろうか? 政府よりも厄介なのが、中国で横行しているDVDやCDの海賊版である。06年も状況は変わりそうにない(ハリウッドによると、中国での海賊行為による被害総額は04年で2億8000万ドルとアジア最悪であり、知的財産の盗用はアジア全体で8億9600万ドルに上るという)。中国政府は厳重な取り締まりに合意しているが、DVDの実に85%が海賊版という市場に規制をかけるのは、事実上不可能に近い。いずれにしても、メディア王たちは今後も中国に通い続けるだろう。
[2006]
中国・浙江省の杭州に本拠を置く吉利汽車の7000ドルのセダンのように、安い中国製小型車がアメリカで発売される。
ネット社会
ブログの世界にもルールの波が
ジョナサン・フェンビー Jonathan Fenby
「アーリーワーニング」編集ディレクター
インターネットは携帯電話などからもつながるようになったが、そのインターネットがもたらした情報の民主化は極めて混沌としている。ある測定によると、毎日8万ものブログ(オンラインの日誌)が新しく立ち上がっているという。しかし、2006年にはオンライン空間に大企業が参入し、ルールらしいものが出来上がっていくだろう。
書くことやポッドキャスティング(インターネットで音楽データを取得すること)によるサウンドの使用だけでなく、デジタルカメラと携帯電話で撮った映像で武装した「市民記者」による参加型の情報サイトはますます栄える。こういうサイトが、既存のメディアに報道の端緒と材料を与えるのだ。2005年7月のロンドン・爆破テロに遭遇した人々が自分の携帯電話で撮った驚くべき映像を考えてみればこれは明らかだ。参加型情報サイトはそれぞれの範囲で大量伝達の報道を確立するだろう。ブログ空間参入にあたり、各企業はマイクロソフトなどのやり方を真似ている。新しいサイトは、これまでの個人的ブログ作成者たちをはるかにしのぐ手段をもって現れるだろう。これらのメガ・ブログは、編集作業の場を伝統的なニュースルームからコンピュータへと移動させ、双方向の情報世界の一部となっていくだろう。
これまでのブログは、常識はずれだったり、行き過ぎもみられたにせよ、情報と意見を個人的に表現するというのがその本質だった。それゆえ、信頼性に問題があったのは明らかだ。ブログのいくつかは正確な情報を提供したかもしれないが、他の多くは突飛なものだ。
米CBSニュースのブッシュ大統領と州兵(米国各州に登録された民兵)に関する報道についてブログの分析が出るたびごと、千もの大げさな言葉と10万の書き手にしか関心のない日常についての記事が出たということがある。米『ロサンゼルス・タイムズ』紙がオンラインの社説ページを無制限で寄稿者に開放した際に生じた混乱で、自由参加型メディアの限界は明らかだ。
こうした問題は、ブログの可能性を開発したり、より責任感を持ったオンライン情報システムの構築を促すことになる。こうしたシステムはまた、従来のブログ作成者にとって受け入れ難い自主的な基準を持ったものとなろう。ブログというメディア自身が情報ツールとしてその潜在力を理解するなら、インターネットは何でもやりたい放題だという考えは、すくなくとも部分的にはなくなる。まじめなブログ提供者は、無責任に何でもできるものではないということを悟らないといけないのだ。
グーグルの順位づけがカギ
これは、何らかの法的規制が生じることを意味するわけではない。ブログ作成空間での法規制には、いまだはっきりしたものがないのだ。むしろ、ブログの世界から、数としては少ないが、インパクトは大きい一連の情報ウェブサイトが登場するだろう。インターネットは偏見を広めたり、自分の利益を追求するためのメディアではないということを承知するのがその条件だ。グーグルが開発したリンク先を順位付ける手法が鍵となる。良識でもって信頼できるものとそうでないものとを区別し、誠実なオンラインの流れを作る。こうしてブランドを創ることができる。
既に販売部数の低下に悩む新聞は、あらたな挑戦を受けるだろう。一方、市民記者が集めたビデオとオーディオの資料を使った報道が成長する。小規模の放送局は、彼らを情報提供者として採用することになろう。既存の報道機関は、利用者を満足させるために、ニュース・コンテンツの拡散している供給源や配給ルートと創造的に取り組む方法を見つけなければならなくなる。いまやブログなどのニューメディアは成長し、自らの責任について真剣に考え、消費者に情報を提供する新しい方策を開発しつつある。この時代に素早く順応できない既存の組織は、影が薄くなるだろう。
2006年のマネジメント界で流行するのは、細部重視の発想だ。スケールの大きなグローバル規模の戦略は、完全に時代遅れになる。競争に勝つために企業が採用する戦略は、効率性の追求とローカル市場の開拓。このいずれの戦略を実行するうえでも、細部に気を配ることが必要とされる。
しかし、管理職たちは「細部」という言葉は使わない。この新しい世界で管理職の口からごく自然に流れ出す言葉、それは「粒度(グラニュラリティー)」という単語だ。
これは、通常は砂糖について用いられていた言葉で、最近はITの世界でも使われていた。「粒度」とは要するに、 構成要素の大きさのこと。構成要素が小さいほど、粒度は高い。そして粒度が高いほど、全体の柔軟性は増す。
06年には、この粒度という概念が経営者の間に広まり、ビジネスのあらゆる側面に適用される。マネジメント界で粒度がもてはやされるようになるのだ。
この現象が企業のマネジメントに及ぼす影響は大きい。カリスマ的な戦略家型リーダーは居場所を失う。この流れは、5年前にジム・コリンズが著書『ビジョナリー・カンパニー2』で自己顕示欲の強いCEOを批判したときに始まった。この本が出版されて以来、部下のコーチングとモチベーション喚起に長けた「静かなリーダー」を求める声が次第に高まっていった。そしてついに、カリスマ型のリーダーが後部座席に追いやられるときが訪れたのだ。
06年には、リーダーシップ論もあまり聞かれなくなる。この数年、耳にタコができるほどリーダーシップについての議論を聞かされてきたことを考えれば、これは歓迎すべき傾向と言えるだろう。『共鳴するリーダーシップ』『ぎりぎりの場のリーダーシップ』というような題名の本の出版も減る。
それにかわって復活するのは中間管理職だ。この15年来の方針を改めて、マネジャーを解雇するのではなく、マネジャー職を増やす企業も現れる。ビジネスの粒度の向上、ローカル重視、効率性アップ、対応の迅速化という名目で、その方向転換は行われる。
アウトソーシングの見直し
細部重視の流れと呼応するのが、アウトソーシングとは逆の「インソーシング」だ。これまで企業は合理化のために「コア部門」以外の切り捨てを進めてきたが、それはもう行われなくなる。アウトソーシングがうまくいかなかった業務を再び社内に取り込むようになるのだ。05年夏、英国航空の機内食業務の外部委託先であるゲート・グルメ社でストが発生した。この一件は、事業に不可欠の業務を自社でコントロールしないと、会社の評判に傷がつく危険があることを浮き彫りにした。
06年は、海外にアウトソーシングしていたコールセンターを国内に戻す企業も現れる。調理師や守衛を自社で再び雇う企業も増えるだろう(ただし、呼び戻されることが決してないのは、オフィスのお茶汲み担当の女性社員。もうコーヒーマシーンを追い出すことはできない)。
細部重視の潮流は、企業の財務担当幹部にとって朗報だ。社内の最重要人物としての地位を取り戻せるのだ。米国のエネルギー大手エンロンの会計スキャンダルをきっかけに逆風が強まり、そこに創造性とイノベーションを重んじる風潮が相まって、最近は財務担当幹部の影が薄くなっていた。しかし、06年は風向きが変わる。数値指標の重要性が再認識されるのだ。国際財務報告基準、新しい規制、企業統治の強化、監視体制への関心の高まりなど、財務担当幹部への追い風が吹く。これらのルールを把握している人物は、財務担当幹部以外にいない。
06年は、久々にすべての人を巻き込むマネジメント上の大ブームが巻き起こる。リエンジニアリングやベンチマーキング、TQMはもう古い。新しいブームになるのは、計量と数量化だ。知識の科学的計量方法が考案されるだろうが、それはシックスシグマも真っ青という複雑なもので、ITの活用が不可欠になる。しばらくは、誰もがこれに熱中するだろう。
06年は、電子メールとのつきあい方も変わる。管理職たちもようやく、電子メールに潜む危うさに気づくのだ。ボーイングのハリー・ストーンサイファーが社内不倫を理由にCEOの座を追われた一件で明らかになったように、電子メールは不倫相手とのやり取りには向いていない。誰でも知っている無難な情報を別にすれば、情報伝達の手段として電子メールは安全な方法とは言えない。プライベートのやり取りは、電話やフェース・トゥ・フェースで行われるだろう(あるいは、コミュニケーションそのものがなくなるかもしれない)。
もっとも、管理職がブラックベリーやパーム・パイロットなどの携帯情報端末や携帯電話を放り捨てるわけではない。最新モデルが発売されれば、すぐに飛びつくだろう。だが、携帯情報端末や携帯電話をブリーフケースに入れて持ち歩くことはなくなる。オシャレなビジネスピープルは、ブリーフケースなんて持たない。ブリーフケースに取ってかわるのは、自転車の荷物カゴ(もちろん、黒くてカッコいいカゴだ)。06年にいちばんオシャレな管理職用の小物は、自転車なのだ。
管理職たちは、通勤用には立派過ぎる高級な高性能の自転車に乗って、自転車用のショートパンツをはいて出勤する。職場の自転車置き場では、「私の自転車のフレームは日本製なんだ」「ギアはカナダ製だ」などと自転車自慢の会話が交わされるようになる。そう、06年の管理職は「細部」にとことんこだわるのだ。
[2006]
ノルウェーの企業は、06年末までに少なくとも女性2人を取締役に任命する。
[2006]
イギリスでの年齢による就職差別を排除するEU主導の新しい制度が10月に発効する。
世界の都市ランキング
海外出張はどこへ行くのが楽しみですか
ジョン・コープステーク Jon Copestake
英『エコノミスト』誌インテリジェンス・ユニットエディター
2006年にどこで会議を開こうか迷っている人。クライアントに会うために行く場所がどんなところか知りたい人。英『エコノミスト』誌はそれらの人たちに答えるため、特別チームを編成し、世界127都市の中から、ベストな場所とワーストな場所をランキングした「ビジネス旅行インデックス」を作成した。
トップはカナダのバンクーバーで、カルガリー、トロントと続き、カナダの都市がトップ3を独占した。その理由は、パキスタンのカラチのように、費用が安上がりだからではない。ビジネス旅行者を喜ばせる多くの要素があるからだ。
この種の調査は通常、コストに注目することが多い。しかし、それではビジネスがうまくいくかどうかを無視することになる。何といっても、会議や研修、社内会議、セミナーなどは、電話セールス以上に、ビジネス旅行の大きな要素だ。レジャーさえそうである。犯罪や天候、輸送手段やレジャーなどは、すべてこのインデックスの要素である。空港までの距離やいいホテルが使えるかどうかも同じだ。我々はコストと快適さを0から100までの数値で示した。数値が低いほど、ビジネス旅行者により魅力的な場所である。
カナダの都市は旅行するのに最適だった。それほど物価は高くなく、いい気分になれる要素を持っていたからだ。カナダの都市は距離が離れてはいるが、高度な交通と通信のインフラがある。それに対して、カラチのような物価の安い都市は、安心して商談や会議をすることさえできない。ラゴス(ナイジェリア)やポートモレスビー(パプアニューギニア)に比べれば上位にランキングされているものの、それがカラチがランキングが低い理由だ。
世界のビジネスセンターであり、多くの人が訪れる都市の一つであるロンドンが、72位にランクされている理由も、物価の問題である。中国の深〓やアラブ首長国連邦のドバイに近い。ロンドンは世界でも最も物価の高い都市の一つだ。交通インフラの悪さや犯罪も多くの大都市のランキングを下げている。
このランキングはすべての出張旅行者の個人的嗜好やニーズを満たしてはいない。大都市の喧騒を気にしない人もいれば、治安状態を重視する人もいるから、ホットな議論になるかもしれない。旅行の距離と費用はどこから旅行するかにかかっている。例えば、ヨーロッパにいれば、ビジネスのためには、時間と費用をかけてバンクーバーに行くより、ウィーンのほうがいいかもしれない。それに加えて、ある都市に行くこと自体がビジネス旅行の楽しみでもあるのだ。
航空産業
1000機受注の
危うい裏側
イアイン・カーソン Iain Carson
英『エコノミスト』誌産業担当エディター
航空産業は、民生部門での思わぬ幸運に恵まれているが、軍事部門では抜本的な再編が避けられない。2005年の航空業界の大きなパラドックスは、原油価格の高騰などにより航空会社が74億ドルもの損失を被ったにもかかわらず、民間用ジェット機の受注数が1000機を上回ったことだ。この意外な受注増の理由としては、本来必要な航空機の発注がこれまで先送りされ続けてきたこと、巨額の赤字を計上した米国の航空会社を尻目にヨーロッパや中東、アジアの航空会社が黒字を維持していることが考えられる。
しかし、この好況は続かない。発注数が多すぎたことに中国やインドなどの航空会社が気づいて、注文が取り消される可能性がある。ボーイングやエアバスのような航空機メーカーにとって意味をもつのは、あくまでも実際に納入した航空機の数。航空会社は代金の10%の保証金を放棄すれば注文の取り消しができるのである。注文が減らされたり、延期されたり、撤回されたりするのは日常茶飯事だ。原油価格が下がらずに、赤字に転落する航空会社が増えれば、注文数が減る可能性も高まる。
1990年代末にボーイングがマクドネル・ダグラスを買収した狙いは、軍事部門を傘下に収めて安定した売り上げを確保することにより、民生部門の業績変動の影響を相殺することにあった。近年、民間ジェット機の受注競争でエアバスの攻勢を受けると、ボーイングの軍事部門は買収の際に期待された役割をしっかり果たした。06年には、ボーイングの民生部門も反撃を開始する。新型機ボーイング787の売り上げは、エアバスのライバル機A350を上回る見込みだ。
この時期に民生部門が立ち直り始めたのは、ボーイングにとって朗報と言える。防衛装備予算は、確実に減少していくからだ(防衛装備予算の半分は航空宇宙部門が占めている)。米軍のイラク駐留など現在進行形の軍事行動は、実は軍事産業にとってマイナスに働く。現地に展開する部隊には莫大な予算が投入されるが、そのほとんどは弾薬や燃料などの消耗品に使われてしまう。むしろ、その予算を捻出するための歳出見直しでは、防衛装備予算が真っ先に減らされるのだ。06年には、大型の戦闘機や兵器プログラムの注文数が大幅に削減されるだろう。
それでも、米軍は最大500機の空中給油機を購入する必要がある。アフガニスタンやイラクなど遠隔地への部隊投入により、空中給油機のニーズは高まっているが、現在使用しているのは、50年代のボーイング707を改造した旧型のものなのだ。ボーイングは米軍相手のビジネスに自信をもっていたが、米国防総省との癒着が明るみに出て、状況は一変した。相次ぐスキャンダルは、エアバスの親会社ヨーロピアン・エアロノーティック・ディフェンス・アンド・スペース(EADS)に参入の門戸を開く結果になった。EADSはノースロップ・グラマンと組んで、エアバスA330の改良版を米政府に売り込んだ。
EADSとしては、世界最大の国防市場である米国に是が非でも食い込みたい。そうすることによってはじめて、ボーイングのように軍事部門と民生部門のバランスが取れるからだ。軍事部門の強化というエアバスの方針は、フランスの産業政策に沿ったものでもある。しかし、EADSの株式の15%を保有するフランス政府は、その持ち株をどうすべきか決めかねている。政府としては株式を売って資金を得たい半面、フランスでは産業政策の策定が政府に期待されている面もある。EADSはミサイル大手のタレスの買収を目指しており、この買収話は06年中にまとまる可能性が高い。EADSの大株主であるダイムラー・クライスラー(31%を保有)を納得させるために、タレスの魅力の薄い部門を切り捨てることになるだろう。
勢力図を塗り替える動き
米欧の航空産業の勢力図を塗り替える可能性があるもう一つの大きな要素は、英BAEシステム社の保有するエアバス株(全体の20%)のEADSへの売却の動きだ。両社は05年夏にも株式譲渡を協議したが、価格の面で折り合いがつかず交渉は不調に終わっていた。BAEはいずれ、エアバス株の売却で得た資金を使って、米国の国防企業を買収し、米国市場における地位を強化しようとするだろう。その場合は、旧ローラル社を母体に生まれたL3コミュニケーションズ社が買収の標的になるかもしれない。
BAEのエアバス株売却は、06年に起きるヨーロッパ国防航空業界再編の最初の一歩にすぎない。複合メディア企業ラガルデールはEADS株(15%を保有)の売却を目指しており、ダイムラー・クライスラーもEADS株を売ってメルセデスブランドとクライスラーブランドのテコ入れ資金に使いたい。ただし、このような再編が起きるためには、EADS株が高く売れるように、民生部門の市場が好調を持続することが条件になる。EADSは、民生部門中心のエアバスに収益の8割を依存しているからだ。ラガルデールを別にすれば、EADSの大株主は株式を手放す方針があることを公式には認めていないが、業界筋によれば、水面下では足並みを合わせて持ち株を売却しようとしているという。06年は、EADS株の売却にゴーサインが出そうだ。
定員850人のエアバスA380
このデカさはハンパじゃない。フロアスペースはボーイング747の1.5倍。定員は最大850人。エアバスA380の大きさは超弩級だ。航空機の新機種の例にもれず、開発費用は予算オーバー(15億ドル超過)。スケジュールも予定より遅れた。当初は06年初頭の就航が予定されていたが、年末にずれ込む可能性が高い。それでも、この航空機がはじめて乗客を乗せて飛び立つときは、大きな話題になるだろう。
A380の開発には、150億ドルの予算と10年以上の期間を要した。その過程では、ヨーロッパのエアバスと米国のボーイングの間で激しい対立もあった。このスーパージャンボを乗り入れさせたい空港は施設の改修が必要になるが、主だった国際ハブ空港はその投資に踏み切るだろう。
エアバスには、すでに160機ほどの注文が入っている。価格は1機当たり約2億8500万ドル。採算を取るためには、最低でもあと100機受注しなければならない。エアバスの心の支えは、向こう15年で旅客機の利用者数が倍増するという予測。この見通しが現実になれば、巨大旅客機の需要も増すはず......という寸法だ。
06年末にA380が旅客を乗せて飛び立つとき、エアバスの大きな賭けが動き出すのだ。
[2006]
ロンドン―ニューヨーク路線にマックスジェットとイオスエアラインが参入することで、ビジネス客の選択の幅が広がる。
原油高
2006年原油価格を
展望する二つの要因
ダニエル・ヤーギン Daniel Yergin
ケンブリッジ・エネルギー研究所会長、『支配者たちの興亡』の著者
石油価格の高騰は通常悪いニュースとみなされる。しかし、バレル50ドル以上に上昇したのに、2005年を通じておおむね悪とみなされることはなかった。今回、価格は地政学的不安定の反映ではなく、経済のグローバリゼーションの進展(もっと言えば中国とインドの興隆)と世界経済が順調なためだったからだ。それが、石油価格に関する「融和主義者」的見解――「われわれのペース次第」――がかくも長く世を覆ったゆえんだ。
しかし、逼迫した市場は危機に陥りやすいものだ。それを予想もしない形で示したのがメキシコ湾のハリケーンであった。戦略石油備蓄を含むエネルギー危機対応機構は1970年代に中東の混乱に備えて創出されたのだが、当時は想像もしなかった事態――つまり米国自身の混乱、に即応するために発動された。突然、石油は世界経済への脅威リストの最上位に顔を出すことになった。06年の石油市場をめぐって懸念されているのは、さらに突発事態や事故が起きて、うまい具合にバランスしている市場が大混乱に陥るのではないかということだ。だが、06年にはまた、石油市場をめぐる二つの根本的な疑問に答が出るかもしれない
「省エネ」が焦点に
第一に、価格がいくらだと需要が鈍化するのか、である。需要の伸びの鈍化は価格圧力を減じる。世界経済のスピードダウンでそうなるかもしれない。だが、節約と効率化の進展でそうなる可能性もある。ドライバーはドライブの仕方を変えるだろうか――そして、とりわけ米国のドライバーはSUVをやめてもっと燃費の良い車やハイブリッドカーに乗り換えるだろうか(希望に合うハイブリッドはいくらもある)? 1ガロン2ドルの価格上昇では何の変化がなくとも、それが3ドルとなると話が違ってきたりする。
中国の石油需要が急増したのは自動車のためではなく、電力不足を補うため急造の火力発電所で燃やすためだった。しかし、自動車によって中国の石油需要はさらに増えつつある。しかし、中国は06年にはエネルギー効率の向上に関して学習効果を高めようとするだろう。そして06年は、中国だけが問題ではない。資源再生と省エネがここ数年見られなかったほどに、注目を集める政策となるだろう。
石油は「底をつかない」
もうひとつの基本的疑問は供給問題である。「不足」は確かに05年、取りざたされた。市場が年後半、不足の瀬戸際で揺れたのだから当然だった。
しかし、最近の市場の不均衡を見て――アジアの石油需要の震撼すべき増加見通しに、黙示録的とでもいうのかそのような味付けがされている――石油の「ピーク」(別の言い方だと「石油の恒常的不足時代」)がやってきたとびくつく者も出てきた。慎重な言い方をするものもいた。しかし、次いで、不安をまくしたてるのをためらわない悲観論者が出てきた。往々にして、その計算たるやあいまいな代物だが、陰謀論をまじえ偉そうに語るのである。
石油産業が―― そしてエネルギー産業全般が――将来の需要を満たすのに難しい問題を抱えているのは事実だ。供給の新規開発とインフラ投資の必要性は相当なものだ。その規模とコストは増加し続けている。しかし、石油に関する限り、底をつくというようなものではない。歴史好きの人は、世界から「石油が尽きかけている」のは、これが5回目で、そのたびに同じことが言われたのに気づくかもしれない。一応紹介すると、ほかの4回というのは、1880年代、第1次大戦後、第2次大戦後、そして1970年代で、このときは石油生産の頂上から転げ落ちたと考えられた(実際は、それから30年が経つが、石油生産量は60%増加した)。
それより06年には――地政学的条件が許せば、新規の原油生産が相当増えはじめるというのが、ずっとありそうなことである。生産能力増強はすでに動き出しており、そのほとんどは、原油価格がバレル25ドルとか30ドルのころ、業界用語でいうと「認可済み」なのである。まだ、石油が50ドルや60ドルになって、消費がどうなるのか、各国の生産増強意欲がどうなるのか、わからない。現時点で総合判断すると、04年から2010年の間に、生産能力は20%は増強されそうであり、供給と需要の間のクッションを膨らますことになるだろう。
科学技術によって「石油」の定義が広がりつつあり、「非在来型」(オイルサンド、海洋深層水、液化天然ガス)は新規のシェアを拡大しつつある。多分、次の年は、「ピーク」近辺というイメージから、ずっと先まで続く「でこぼこの高原」というイメージに道を譲るだろう。しかし、今後数年で「掘り尽くす」ことはありそうもない。といって、それは技術開発、代替燃料、省エネを考えなくてよいということではない。
SECが埋蔵量の
開示ルールを見直し
規制の見直しも潜在供給力についての見通しを高めるだろう。米国の証券取引委員会(SEC)は、世界中の石油企業をそれが株式会社なら、そのほとんどを事実上監督する機関だが、06年には埋蔵量に関する開示ルールの見直しを開始する。これは、単なる技術的問題ではすまなくなった。現行アプローチ――「1978年システム」――は30年前の技術に基づいている。結果として、投資家に開示される「情報」は今行われている開発投資や石油供給と比べどんどん現実離れしたものになっている。
この問題について05年に集中的に検討されたので、06年にはSECがシステムの近代化にとりかかることになろう。投資家にとって結構なだけでなく、将来の石油供給見通しの明確化に大きなインパクトがあるだろう。しかし、石油産出国は石油産業とは違うので、産油国が直近の確認埋蔵量をどう見積もっているのかの疑問は解消されずに残る。
エネルギー安全保障も06年はテーブルに載るだろう。05年に起きた需給逼迫と混乱で優先順位が高まった。その点を明確にするため、ウラジミール・プーチンはロシアに主要先進国の指導者を招いて開くG8で、最優先課題とすると宣言した(彼はまた、ロシアは豊富なエネルギー資源によって世界における強国としての役割を一新するだろうと述べた)。
エネルギー安全保障については、誰しも関心があるだろうが、エネルギー安保とは何か、という議論が起きるだろう。ひとつ確かなことは、伝統的定義では――世界のどこか、多分、中東で供給が絶たれるという恐怖――もはや十分でないということだ。欧州と米国における停電、途上国の深刻なエネルギー不足、長引く石油市場の逼迫、テロの発生、メキシコ湾岸のハリケーンによる惨状を受けて、エネルギー危機の観念は「1973年版」から石油の供給網とインフラのすべてを含むものに拡大しなければならない。その一環として、石油供給システムの多様化と柔軟化、エネルギー分布の役割拡大にもっと注意が払われるだろう。
しかし、定義を拡大すると緊急の疑問が生じる。民間部門と公的部門のグレーゾーンの責任分担をどうするのかという問題だ。安全保障の要件の調整は? そして、費用分担は? 最後の疑問については、いずれにせよ、価格を通じて消費者が最終的には支払うといえるだろう。数年後、エネルギーを買うとき、信頼性をもパッケージとして望むならば。
)
M&A
異文化の企業合併を
成功させる方法
カルロス・ゴーン Carlos Ghosn
日産自動車、ルノー社長兼最高経営責任者(CEO)
2006年に至ってもグローバリゼーションの動きは避けられず、その勢いは失われない。地球的プレゼンスを得るための近道として、経営者は遠隔地の競合企業を吸収合併する拳に出ることになろう。ただし、尊敬の念を持って結ばれた二つの強力な企業の場合でも、期待どおりの相乗効果を生むことは少ない。どうしてだろうか。
プラスチック製のブロックのおもちゃとは違い、企業というのは、すぐにうまく結びつくほど柔軟ではない。異なる国民文化がかかわる場合は特にそうだ。隣町の企業同士の合併ですら、価値を創造するキーマンは苦労する。
いかなる企業にあっても、団結力が最も重要な資産だ。具体的には、従業員個々のモチベーションと、チームとなって働く能力である。そしてこの団結力は、友好的な合併にあってさえ、一夜にしてなくなることもある。
地球の反対側に位置する企業同士が合併し、相乗効果を発揮することも私は否定しない。問題なのは、どういうモデルで吸収合併を行うかだ。 ルノーと日産の1999年以来の経験が、地球規模の価値創造へのより効果的な道と企業文化転換のモデルを示している。
99年当時、ルノーはヨーロッパの成功した自動車会社だった。ただ、アジアか北米で市場プレゼンスを得ない限り、その成長ポテンシャルは行き詰まるかにみえた。一方日産は、この二つの重要な市場にかなりのプレゼンスを持ちながら、10年にわたる損失のため疲弊していた。この誇り高き日本の企業が、海外から援助を求める必要に直面したのだ。
ルノーが日産株の36.8%を買うという99年3月のニュースは、眉唾物だと受け止められた。フランスと日本の文化の衝突を予測する人たちもいた。「対等な結びつき」という私たちの発した言葉は、買収色を薄めるための言い草にすぎないとされた。
実は、吸収ではなく、結合することこそが成功への鍵だったといえる。日産は一体どんな価値を提供できただろうか? 世界で過剰となった工場や設備に魅力はなかった。日産という世界的ブランド、能力の蓄積、さらに従業員の忠誠心こそが貴重だった。そして緊急を要したのは、ルノーの子会社ではなく対等な組織を創るために、日産の企業文化を活発化し、改革することだった。
(ルノーとは)別の会社として、独自の経営、企業文化、さらにそのブランド名を維持し続けることが分かるにつれ、日産の従業員たちは会社再生のために必要かつ重大な決定を支持する自信を持ち始めた。そして彼らは、会社の収益性を世界の自動車産業の中でトップレベルに押し上げた。私たちの戦略が成功したのは、ひとえに日産企業文化の潜在力を生かしたためだといえる。
このグローバリゼーションの時代、企業文化こそが価値創造の担い手だ、というのがこの経験から得た私の結論だ。有形の企業資産は分割しても一定の価値がある。しかし、この物的資産で付加価値を生み出すには、モチベーションを持った従業員が必要だ。
既存の企業文化のうちベストな点を維持し、必要な進化を促すことが最初の課題だ。日本とフランスの文化の持つ価値観が、日産とルノーにとっての基本的な強みである。企業内部の団結は、従業員それぞれが学校教育を通じて獲得し、共有している規範意識にかなり左右される。これらの良い点を決してないがしろにしてはならない。
ところが、何らかの価値を壊すことなく二つの文化を結びつけることはできない。したがって、二つの文化が結合しようと試みる時、新しい地球大での命題、すなわち多様性に目を向けなくてはならない。世界で競争するため、優秀な人材を引き付け、彼らにモチベーションを与えなければならない。
日産やルノーで国籍の壁がトップの座への道を阻むとしたら、国籍要件は満たさないながら優秀な若者がこれら企業でキャリアを築きたいと思うだろうか。
年功ではなく、
実績による昇進と報酬
国籍の違いと同じく重要な課題が性別だ。人口と労働力が減る方向にある日本でこれは特に大事な点である。
聡明で、良い教育を受け、モチベーションを持つ多くの女性を無視することなどもうできない。私たちは、女性の貢献を必要とし、だからすべてのレベルで彼女たちを雇用している。ただ同時に、工学専門家の結集こそがルーツであるような自動車会社の文化の中で、女性たちが成功するよう楽観的に望むこともできない。
したがって私たちは女性に役割を提供しないといけない。とりわけ、長期の輝かしいキャリアの中で、出産なども経験する女性特有のニーズも考慮しなければならない。
次に待ち構える、より大きな課題は、世代交代である。ダイナミックでグローバルな企業文化は、年功による特権を保護するのではなく、次世代の成長を促進しなければならない。グローバル企業に必須の特色、つまり年功ではなく、実績による昇進と報酬を目指す文化改革を日産の従業員は学びつつある。
企業が直面するこうした課題を、私は当然、日産とルノーの例でもって示している。しかしグローバルな時代にあって、これらはいたるところで重要である。企業の吸収合併や国境を越えた成長について語るとき――06年にこの種の話は間違いなく増える――企業文化の話は決して補足的なものであってはならない。企業文化は価値創造の担い手なのだから。
国際無料電話
どこでもインターネットできる年になる
2006年は、いわゆる破壊的技術が盛んになるだろう。既存技術が新たな市場では、金がかかりすぎて、スピードに対応できず役に立たなくなっているときに、破壊的技術が役割を果たす。スリムでダイナミックな企業は良いアイデアを迅速に新商品、新サービスへと具体化し、画期的な技術を市場に出す。企業が効率的に動く構造になっていれば、消費者の要求が高まっても、それに応えることができるし、広範かつ迅速に革新的な商品を市場に出すことができる。
インターネットによる音声衛星通信は、無料で、質が高いという二つの単純な理由で、大衆市場を変革させている。無料サービスは、競争相手よりも際立って質が高く、信頼性を得られる場合でなければ価値がない。人はコストを削れて、品質が優れていればこれまでのやり方を変える。
現代は消費者の要求するペースに合わせて革新を進めることが容赦なく求められている。競争は健全なものであり、インターネットによる衛星サイト市場が成熟すると、競争は激化する。このことがより一層革新を促進し、低価格とより良い選択を可能にし、消費者に利益をもたらす。
真の変革を起こすには、既存の商品のコスト削減のみならず、新たな定義と価値が焦点となる。破壊的な企業は消費者に対し生活を向上し生産性を上げ、その活動をより効率化、低コスト化する手段を提供しなければならない。
低価格の衛星サイトにより、生産性を向上し共同作業を促進し、情報に基づく意思決定をより一層迅速にすることができる。それによって、どんなに小さな集団でも、隔絶した社会でも、それまで想像すらできなかった地球規模の展望をもたらすものである。
コミュニケーションの欲求は人類の最も基本的で自然な欲求の一つに数えられる。衛星通信技術は極めて急速に発展したため、ここ数年では他の分野の成長を凌いだ。携帯電話は固定電話に迫る勢いであり、衛星サイトを、まさに個人のものにした。ファクス、電子メール、インスタントメッセージングにより衛星通信が即時に行われるようになり、人の心を動かさずにはおかないもの、そしてビジュアルなものとなった。
こうした進歩により、インターネットによる衛星サイト、パイオニア的な衛星通信手段の基盤が整った。声がウェブに行き着くことで、消費者は豊かさを享受できる。その最も純粋な形では、革新により技術を問題解決に応用するものである。消費者の要求は、革新の成功を呼び、インターネット音声衛星通信の開発は、効率的で、オープンで、容易に深い内容の衛星通信を行いたいという世界の人々の望みに応えるものである。スカイプは、先端のコンピュータ技術の原則を応用し、全世界がコストなしで話すことを可能にしたものである。それにより、世界中の対話がより一層拡大した。バージョンアップした技術は、全く初めて技術を利用する場合に比べて使い方を覚えるのが早い。競争はコストダウンにつながり、関連するリスクも減少させる。人々が以前にも増してお互いにつながり合い、信頼する友人に何か新しいものを試せと頼まれたときにより素早く反応できる。先に技術を取り入れた者は、その影響力を及ぼす範囲すべてに効果を与え、この傾向は、相互のつながりが増加するにつれ顕著になる。
拡大するワイヤレスの世界
消費者は、06年にはより大きな自由を期待できる。私たちは、衛星通信の世界で、価格が手ごろなブロードバンドやワイファイ(Wi?Fi)、それにパソコンの性能を超えたさまざまな携帯端末などのお陰で、どこでも簡単に衛星通信できるようになるだろう。
コンピュータの性能に対する人々の要求はとどまるところを知らない。消費者が容易に情報を共有し、データに遠隔アクセスできるインターネット機器はさらに普及するであろう。これは06年以降も拡大するだろう「知識の共有」に大きな影響を及ぼす。
06年は、ワイヤレスの世界が新生し、「つながっている」ことの本当の意味を実感する分水嶺の年になるだろう。人々は固定したネットワークに縛られなくなるであろう。ワイヤレスの範囲が無制限になり、消費者は、家庭にいても、職場にいても、移動中であろうともいかなる場所でも常時接続できるようになる。手ごろな価格のブロードバンドとパソコンの価格低下により、モバイルコンピューティングとインターネットによる衛星通信が指数関数的に拡大する舞台が整った。
将来的に消費者は、すべてのニーズを満たす基本的な衛星通信機器1台のみを使用し、そこからすべてのネットワークやすべての機器上で必要なものがどこにあるかが分かるようになるだろう。私は電話番号などは完全になくなる可能性があると見ている。そうなれば、重大な転換となる。従来のシステムが完全にいらなくなり、複数の情報を総合する、より高性能な機器が組み込まれるだろう。複数モードの情報のやり取り、マルチメディア・ハンドセット、高性能仕様は標準となるが、スムーズに使いやすいものとなるに違いない。世界中どこでも、通話はインターネット機能を備えた手ごろな価格の携帯式機器により、インターネットを通じて行われるようになろう。
開かれたウェブの提唱者として、私は06年に消費者を待つ将来と衛星通信のたゆまぬ成長を考えると興奮を覚える。とはいえこの成長は自動的に続くものではない。真の革新は自律的で持続するものでなければならない。境界線や垣根を取り払う進歩的な思想が必要となる。これからの勝者とは、迅速かつ鋭敏で、消費者の要求に応えられる人たちであり、決して小さな者を破る大きな存在でも、スピードの遅い者を破るスピードの速い存在でもない。
当メディアは国内主要企業の114カ所のサイトに対して、「ユーザビリティ」(使いやすさ)を検証し、ランキングを算出した。検証にあたっては、とりわけ「アクセシビリティ」を確保しているかどうかを重視した。アクセシビリティとは、Webサイトの情報やサービスに対するアクセスの容易さのこと。アクセシビリティに優れているWebサイトは、万人に対してバリアフリーなサイトといえる。
■IT分野の企業が上位に
ランキングの首位は、富士通。2位には日立製作所。3位は同点で、NEC、日本IBM、日本ヒューレット・パッカードが入った。これらは、国内を代表するIT分野の大企業。Webページのユーザビリティに関するコンサルティングなどを実施している、ユーザビリティ対策のプロといえる企業も並ぶ。IT関連企業以外では、JR西日本(6位)、サントリー(8位)などが上位に入った。
得点の算出方法を右ページの図に示した。調査は、「サイトの基本構造」「基本的な操作性」「画像・動画・音声などの扱い」「文字の表現方法やデザイン」「トップページの使いやすさ」の5分野で行った。
トップページの使いやすさを除く4分野は、主にWebサイトのアクセシビリティに関するものだ。実は、一見して問題のなさそうなサイトでも、一部のユーザーには使いにくいということがよくある。例えば、右下の左側の図は、色だけで休業日を表している。これでは、色覚障害者やモノクロディスプレイのユーザーは、正しい情報を取得することが難しい。モノクロのプリンターでWebページを印刷する場合も同様だ。
■音声ブラウザーに未対応
音声ブラウザーに対応していないWebページもある。音声ブラウザーとは、Webページの内容を音声で読み上げるWebブラウザーのこと。このWebページは、3月12日のことを「3/12」と表記している。音声ブラウザーの多くは、こうした記述があると、「じゅうにぶんのさん」と読み上げてしまう。
PDFやFlashなど、プラグインソフトを必要とする技術の利用も、アクセシビリティ確保の障害となる場合がある。確かに、こうした技術の利用は、文書の配布や動画による情報提供を容易にするなど、利点が多い。しかし、古いパソコンやPDAを使っているユーザーなどは、これらの技術を利用したコンテンツにアクセスできない場合がある。このため、こうしたコンテンツを提供するなら、画像や文章で同等の情報を伝えるWebページを別に用意するなどの対策を実施することが望ましい。
今回は、各Webサイトのトップページと、トップページからリンクのあるページを調査した。また、それぞれの調査項目の得点は、調査対象のWebページのなかの1カ所だけが対応していない場合でも、0点とした。これは、すべてのページが対応してこそ、ユーザビリティを確保できると考えたためだ。
■企業全体への徹底が必要
企業では、事業部ごとに独自にWebサイトのライティングをしていることが多い。こうした場合は、文章作成のガイドラインを作成して、その遵守を企業全体に徹底しないと、Webサイト全体のユーザビリティを高めることはできない。
ランキングの結果を見ると、さまざまなユーザーに対する配慮に積極的なWebサイトがある一方で、使い勝手の面で疑問が残るサイトも多い。Webサイトによって、大きな得点差が付いた背景には、ユーザビリティやアクセシビリティの考え方が、世の中に浸透していないことがあると考えられる。
また、具体的な対処方法が分かる公的な基準が国内にはないことも、ユーザビリティやアクセシビリティに配慮したWebサイトが少ない一因となっている。
しかし、こうした事情も今後は少し変わりそうだ。というのは、Webコンテンツのアクセシビリティ確保のための指針が、6月にJIS(日本工業規格)になるからだ。
経済産業省は6月20日に、Webコンテンツのアクセシビリティ確保のための指針を、「高齢者・障害者等配慮設計指針?情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス?第3部:ウェブコンテンツ(JIS X 8341?3)」として制定する予定だ。
JISの設計指針は、インターネット関連の標準化団体「W3C」が制定したWebコンテンツ用のアクセシビリティ指針「WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)1.0」を基に、「ふりがな」などの日本語特有の問題や最新情報を追加した内容になっている。
JIS対応を目指す企業も
JISの指針は、インターネット上のWebページだけではなく、CD?ROMに入ったWebコンテンツ、店頭や街角に設置する専用端末など、HTMLを利用して作成するさまざまなWebコンテンツでの利用を想定している。今回の当リライト・メディアの調査でも、アクセシビリティに関する調査項目は、できるだけ「JIS X 8341?3」(原案)の項目に一致させるようにした。
工業標準化法は、国や自治体はJISを尊重しなければならないと定めている。このため、6月20日以降、国や自治体はJISの指針を尊重して、アクセシビリティに配慮したWebサイトを構築することが必要になる。国や自治体でWebサイトのアクセシビリティ対策が進めば、その動きは企業にも波及していくだろう。企業の中には既に、JISの内容に準拠してアクセシビリティ対策を進めて、「JIS対応」を積極的にアピールすることを計画しているところもある。指針のJIS化は、国内のWebサイトのアクセシビリティ対策を推進する契機になるはずだ。
もっとも、JISの内容に従えば、使いやすいWebサイトを簡単に構築できるというものではない。使いやすいWebページに不可欠な、分かりやすい見出しや、理解しやすい文章などは、担当者がコンテンツの中身をよく理解して、作成するしかない。
また、Webページ制作の現場では、アクセシビリティ対策とデザインとの両立に悩む担当者も多い。例えば、JIS原案では「文字のサイズ及びフォントは、必要に応じ利用者が変更できるようにしなくてはならない」と定めている。これは、文字が小さくて、高齢者などが判読できなくなるのを防ぐためだ。
デザインとの両立も課題
しかし、企業サイトのトップページや表の多くは、ユーザーがWebブラウザーの設定を変更しても、文字の大きさが変わらないようになっている。これは、ユーザーの設定によって、トップページのデザインが崩れたり、表の形が乱れたりして、ページの見た目や使い勝手が悪くなるのを防ぐためだという。
慎重に取り組めば、アクセシビリティとデザインを両立させるWebサイトの構築は可能だろう。とはいえ、限られた時間のなかで、「対策が必要なのは分かっているが対応できない」と悩む担当者がいるのも事実だ。
Webサイトのユーザビリティ対策は、手間のかかる作業ではある。しかし、ユーザビリティは、店舗でいえば、外観や内装、接客の質に当たる部分。ユーザーの満足度が高くなるWebサイトを構築できれば、サイトの利用者数や企業イメージの向上に役立つはずだ。
実は、ユーザビリティへの配慮は、検索エンジンで情報を見つけやすくする「SEO」(検索エンジン最適化)にも効果がある。後述するように、音声ブラウザーなどでの使い勝手を高めるには、HTMLの文法に従って、Webページのタイトルや見出しを適切に付けることが必要だ。
■検索エンジン対策にも
検索エンジンは、「クローラー」や「ロボット」などと呼ぶ巡回ソフトがインターネットのなかからWebページの情報を収集。Webページのタイトルや見出しなどを手がかりにして、そのページが何を表しているかを判断する仕組みになっている。このため、HTMLの文法に従って、適切なタイトルや見出しを付けていれば、検索エンジンが正しく情報を取得できるので、Webページが検索結果の上位に登場する可能性が高くなる。
使いやすいWebページの作成を支援するツールも登場している。これからWebサイトのユーザビリティ対策に取り組もうという企業には、こうしたツールも役立つだろう。
総務省は、2001年から2003年にかけて実施したアクセシビリティに関する実証実験で、Webページのアクセシビリティ対応度を点検して、修正すべき個所の指摘などを行うツールを開発。実証実験のWebサイト(http://www.jwas.gr.jp/)で、無償で提供している。富士通も、自社のWebサイト(左ページの表を参照)で、色覚障害によるWebページの見え方のシミュレーションなどができるツールを無償提供している。
このほか、日本IBMは、Webページに読み上げや文字拡大などの機能を付加する閲覧支援ソフトを開発。キヤノンや厚生労働省、岐阜県、東京都世田谷区などのWebサイトが採用している(右上図)。
■JISに対応するには何をすべきか
Webコンテンツのアクセシビリティに関するJISの発効まで3カ月を切った。JISが規定するアクセシビリティ対策と、JISに対応するためのポイントを解説しよう。
まず、6月20日に発効する予定のJISのWebコンテンツ設計指針(JIS X 8341?3:以下JIS指針)が、どのような内容となっているのかを見ていこう。記事では、2004年2月末時点のJIS原案を基に解説する。文章の一部や項番は、JIS発効時には、変更になる可能性もある。
JIS指針では、高齢者や障害者を含むすべての利用者が使いやすくなるように、Webコンテンツ作成時に配慮すべき「要件」を盛り込んでいる。例えば、視覚障害を持つユーザーなどが音声ブラウザーを利用することを想定して、画像や色だけで情報を伝えるようなWebページは避ける、といった内容を定めている。
■まずはできるところから
高齢者や障害者への配慮は、決して一部のユーザーのための取り組みではない。「すべての人々の問題を純粋に考えるための糸口」(原案作成委員会の委員長を務めた東洋大学の山田肇教授)であり、こうした配慮が結果的に、すべてのユーザーの利便性向上につながるためだ。
JIS指針では、Webコンテンツを開発・制作する際に考慮すべき内容として、38個の要件を規定。具体的にどういったWebページが問題で、どうすれば問題を解決できるかを、例を交えながら解説している。
"すべての項目に対応しなければならないのか"と疑問に思う向きもあるだろうが、まずはできるところから始めればよい。原案作成の中心メンバーであるユーディットの濱田英雄主任研究員は、「全部やらなければダメというわけではない。まずは一歩一歩進めてほしい」とアドバイスする。
各要件の重要度が分かるように表現も工夫している。率先して対応すべき項目は「○○してはならない」と記述する一方、対応すべきかどうかがケースによって異なるものについては「××が望ましい」という記述になっている。
■画像には説明文を
次に、代表的なJIS指針の要件を見ていこう。視覚障害者がWebコンテンツを利用する際の使いやすさに関する指針の一つが、右ページ上の例だ(JIS原案の項番:5.4.a、以下同じ)。視覚障害者が音声ブラウザーで読み上げるケースでは、画像がただあるだけではその内容を把握できないため、説明文などによる代替情報が欠かせない。
具体的には、画像に「alt属性」(代替テキスト)を付けるか、画像の近くに画像の内容を表す説明文を配置すればよい。alt属性が付いていれば、音声ブラウザーがそのテキストを読み上げるので、視覚障害者がその内容を把握しやすくなる。
注意したいのは、画像の内容を具体的に説明するalt属性を付ける必要があること。例えば、社長の写真が載っているのに説明が「写真」だったら、役に立たない。
また、画像の近くに説明文がある場合や、画像を特に意味を持たない目印やマークとして使う場合には、あえてalt属性を設定しつつ中身を空白にすることも必要だ。日立製作所のトップページでは、上部にある会社のロゴのalt属性を、あえて空白にしている。音声ブラウザーでトップページを読み上げる際、ページタイトルで会社名を読み上げた後、再度ロゴで会社名を読み上げるのは、使い勝手の面でマイナスと判断したためだ。同様の理由で、タイトルのすぐ下にページの見出しを画像で表示するような場合も、alt属性の内容を記述しないようにしているという。
デザイン上の理由から「経 済」のように単語の途中に空白を入れるのも避ける(5.9.e)。途中に空白があると、音声ブラウザーが1つの単語と認識できずに、「ケイザイ」ではなく「ケイ、スミ」などと読み上げてしまい、正しい意味が伝わらなくなる。
■ページタイトルを適切に
JIS指針では、HTMLの基本構造に忠実に従って、コンテンツを作成することの必要性も強調している。見出しなども、単にフォントサイズを大きくして対応するのではなく、見出し用の<H>タグを用いて論理構造を明確にする(5.2.a)。こうしておけば、音声ブラウザー利用時に、<H>タグの要素だけを読み上げる機能を使って、ページの内容をざっと把握することが可能になる。
適切なページタイトルの付与も、最優先で対応したい項目だ(5.2.e)。音声ブラウザーでは、最初にWebページのタイトルを読み上げる。また、タイトルの要素は、お気に入り(ブックマーク)の登録に利用するほか、検索エンジンの検索結果表示にも用いる。このように、適切なタイトルが付いているかどうかは、多くのユーザーの使い勝手に影響する。
前章で触れたように、HTMLの文法に準拠してWebページを作成すれば、検索エンジンの結果表示の順位も向上する。検索エンジン経由で企業サイトを訪問するユーザーが多くなっており、今やNECのサイト訪問者の半分は検索エンジン経由だという。まずはサイトに来てもらわないことには始まらないのだから、基本に立ち返って対応を進めたい。
■PDFなどにも代替情報を
操作性の観点では、画面上部に主要なコンテンツへのリンクをまとめた「グローバルナビゲーションバー」があると便利だ(5.3.f)。また、巨大サイトで深い階層に下りていった際、今サイト内のどこにいるのか分からなくなることもよくある。こういった場合を想定して、グローバルナビゲーションバーとは別に、どの階層にいるかが分かる階層(パンくず)リストも用意するといい(5.2.g)。
Webページの自動更新や、別ページへの自動移動、新しいウインドウが開くといった設定も注意が必要だ(5.3.e)。アクティブなウインドウが突然切り替わると利用者が混乱する可能性がある。事前に知らせることが望ましく、利用者が想定してないポップアップ広告は控えた方がよい。
また、代替情報を用意するのは画像だけとは限らない。PDF、Flashをはじめとしたプラグインソフトを必要とする要素にも注意すべきだ(5.4.e)。PDFやFlashのように広く普及している技術といえども利用できない人は必ず存在する。また、テキストでコンテンツ内容の説明があれば、ダウンロード前にどんなコンテンツなのかが分かるので、通信速度が遅いダイヤルアップユーザーの使い勝手向上にもつながる。
JIS指針では、音声ブラウザーへの対応が、重要な位置を占めている。自社サイトの音声ブラウザーへの対応度を確認するには、実際に音声ブラウザーでWebページの内容を読み上げてみるのが一番だ。一度、試してみることをお勧めする。
■社内ガイドライン策定を
今回のランキング結果を見ると、JIS指針に対応しているWebサイトと、そうでないサイトとがはっきりと分かれた。JIS指針によく対応している企業は、いずれも従来から自前のガイドラインを作成して、アクセシビリティ対策に積極的に取り組んでいる。一方で、ランキングの下位に入った企業のなかには、アクセシビリティ対策を全く意識していないというところもあった。
自社サイトのアクセシビリティ向上を目指すなら、Webページを作成する際のガイドラインの整備から始めよう。ガイドラインは、富士通や日立製作所、日本IBMなどがWebサイトで公開しており、これらの内容はJIS指針と重なるところが多い。まずは、これらのガイドラインを参考にするとよいだろう。また、JIS指針は6月に発効した後は、日本規格協会で購入できるほか、日本工業標準調査会(http://www.jisc.go.jp/)のWebページで閲覧できる。
ガイドラインは単に策定するだけでは意味がない。Webサイトの責任者だけでなく、実際にWebページを作成する担当者まで、アクセシビリティを意識する必要があり、同時にそれを徹底する仕組み作りも欠かせない。
今回、非IT企業の中で、ランキングの最上位に入ったJR西日本では、「利用されないことには意味がない」との考えから、極力シンプルで分かりやすいガイドラインにすることを心掛けたという。また、サントリーは、社員向けにアクセシビリティの大切さを啓蒙するメールマガジンを発行した。さらに、JR西日本やサントリーでは、Webページの作成を請け負う外部企業に対して、ガイドラインに沿ってWebページを作成していることを証明する書類を納品時に提出するよう義務付けている。
■最もWebサイトが使いやすいのは宮城県
47都道府県のWebサイトの使いやすさを検証し、ランキングを算出した。調査項目と得点の算出方法は、「企業サイト ユーザビリティランキング」と同じ(135ページ参照)。
ランキングの首位は宮城県で、適切な見出しや段落など、HTMLの文法に準拠したサイトになっていることが高得点につながった。2位は東京都、3位には栃木県が入った。
114カ所の企業サイトの平均得点が54.9点になったのに対し、都道府県の平均得点は48.4点にとどまった。また、上位自治体と下位自治体との間には、大きな得点差がついた。多くの自治体にとって、Webサイトのユーザビリティの確保は、緊急に取り組むべき課題といえそうだ。
■音声ブラウザー対応は不十分
全体に、アクセシビリティ向上への取り組みはかなり遅れている。画像の音声ブラウザー対応すらも不十分だ。画像などへのalt属性の設定が比較的整っていたのは東京都だけ。ほかの自治体はいずれも満足とはいえない結果となった。
テキストは、半数以上がゴシック系フォントを使用し、背景色とのコントラストに配慮していた。しかし文字サイズへの配慮には欠ける傾向があり、十分な大きさのフォントを使っていた自治体は3分の1程度。すべての文字に対して、ユーザーが文字の大きさを自由に変えられるようにしていたWebサイトは皆無だった。
今後注目したいポイントは、各ページにあるグローバルナビゲーションなどを読み飛ばす機能。大量の情報が詰まったWebページを音声ブラウザーで読み上げさせ、内容を把握することは、思いのほか大変な作業だ。何度も同じ内容を聞かされるのが苦痛であることは想像に難くない。宮城県、東京都、和歌山県などは、この機能を設定していた。
なお、調査は2004年2月23日から2月29日にかけて実施した。
1位
86点
富士通
http://jp.fujitsu.com/
2002年6月に、使いやすいWebページを作成するためのガイドライン「富士通ウェブ・アクセシビリティ指針」をWebサイトで公開。2002年10月から2003年6月にかけて、国内外のWebページの見直しを実施した
2位
79点
日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/
グループ全体のWebページの管理を統括する「Web戦略センタ」を2003年4月に設立。Webページ作成のためのガイドラインの周知徹底などを進めた。使いやすいWebページについての解説を、Webサイトに掲載している
3位
77点
NEC
http://www.nec.co.jp/
3位
77点
日本IBM
http://www.ibm.com/jp/
3位
77点
日本ヒューレット・パッカード
http://www.hp.com/jp/
6位
75点
JR西日本
http://www.westjr.co.jp/
7位
74点
ベクター
http://www.vector.co.jp/
8位
72点
サントリー
http://www.suntory.co.jp/
9位
69点
Google(グーグル)
http://www.google.co.jp/
10位
68点
サッポロビール
http://www.sapporobeer.jp/
10位
68点
ビザ・インターナショナル
http://www.visa.co.jp/
●アクセシビリティに問題があるWebページ
色だけで休業日を表しているWebページ。色覚障害者や、モノクロディスプレイのユーザーは正しい情報を取得することが難しい
「3月12日」を「3/12」と表記しているWebページ。音声ブラウザーは「じゅうにぶんのさん」と読み上げるので、正しい日付が分かりにくい
●Webページの見え方を確認できるツール
富士通は、色覚障害者にWebページがどう見えるかなどを確認できるツールを開発。Webサイトで無償で提供している
●Webページに読み上げ機能などを付加
キヤノンのWebサイトは、ページ内容の読み上げやページ内の文字の拡大などができる閲覧支援機能を備えている
■音声で情報を得ているユーザーに配慮する
画像には、利用者が画像の内容を的確に理解できるようにテキストなどの代替情報を提供しなければならない(5.4.a JIS原案の項番、以下同じ)
画像に対して、画像の内容を説明する「alt属性」(代替テキスト)を設定しておけば、設定した内容を音声ブラウザーが読み上げるので、視覚障害者がページの内容を把握しやすくなる。alt属性の設定内容は、マウスカーソルを画像の上に置くと確認できる(左図)。画像の説明は、「写真」「イメージ」などとせず、内容が具体的に分かるようにする
説明が必要な画像にalt属性を設定しているか
17.5%
表現のために単語の途中にスペース又は改行を入れてはならない(5.9.e)
単語の途中にスペース(空白)が入ると、音声ブラウザーで読み上げる際に1つの単語として認識できない
装飾目的で文章やalt属性の単語の途中にスペースを入れていないか
95.6%
■キーボードだけで操作できるようにする
ウェブコンテンツは、特定の単一のデバイスによる操作に依存せず、少なくともキーボードによってすべての操作が可能でなければならない(5.3.a)
マウスを使わなくても、キーボードのTabキー、Enterキー、カーソル(矢印)キーなどで操作できるようにする。マウス操作が困難な利用者の役に立つだけでなく、キーボードを中心に利用するユーザーの利便性向上にもつながる
キーボードだけでサイト内の操作ができるか
56.1%
■ページには"適切な"タイトルを付ける
ページのタイトルには、利用者がページの内容を識別できる名称を付けなければならない(5.2.e)
音声ブラウザーは最初にページタイトルを読むので、<TITLE>タグでページの内容を適切に示すタイトルを設定しておけば、視覚障害者がページの内容を把握しやすくなる。ページタイトルは、検索エンジンの結果表示でも利用しているため、適切なタイトルの付与は、検索性の向上にも役立つ(左下図)
<TITLE>タグはページ内容を的確に表しているか
39.5%
■どのページでも使えるナビゲーションバーを
ウェブサイト内においては、位置、表示スタイル及び表記に一貫性のある基本操作部分を提供することが望ましい(5.3.f)
画面上部に主要なコンテンツへのリンクをまとめた「グローバルナビゲーションバー」を設けているNECのWebページ(左図)。その下には、今いる階層が一目で分かる階層(パンくず)リストを表示している
グローバルナビゲーションバーがあるか
39.5%
■むやみに別ウインドウを開くのは避ける
利用者の意思に反して、又は利用者が認識若しくは予期することが困難な形で、ページの全部若しくは一部を自動的に更新したり、別のページに移動したり、又は新しいページを開いたりしてはならない(5.3.e)
広告目的などの新しいウインドウが突然開くと、現在いる場所や状況が分からなくなるケースがある
勝手にWebページを自動更新したり、別のページに移動したり、新しいページを開いたりしないか
57.0%
■プラグインが必要なコンテンツにも代替情報を用意
アクセス可能ではないオブジェクト、プログラムなどには、利用者がその内容を的確に理解し操作できるようにテキストなどの代替情報を提供しなければならない(以下省略)(5.4.e)
PDFやFlashなど、プラグインが必要なコンテンツを提供する場合には、プラグインをインストールしていない環境でも内容を把握できるように、テキストや画像で構成する代替ページを用意する
プラグインソフトをインストールしていなくても、代替情報により内容を把握できるか
41.2%
■自社のサイトを音声ブラウザーで読み上げよう
日本IBMの音声ブラウザー「ホームページ・リーダー」でWebサイトを読み上げているところ。実際にサイトの内容を読み上げてみれば、サイトの問題点を容易に把握できる。ホームページ・リーダーは、同社のアクセシビリティ情報のサイト(126ページの表を参照)で試用版をダウンロードできる
■先進企業に学ぶアクセシビリティ向上のポイント
ガイドラインを策定する
富士通のアクセシビリティガイドライン。富士通や日本IBM、日立製作所などは、Webサイトでガイドラインを公開している(126ページの表を参照)。ガイドラインの内容は、JIS原案と重なる部分も多い。これらを参考に自社サイト向けのガイドライン策定を進めよう
基準を満たしているかどうか、納品時に保証書を
ガイドラインを作っても、それが実際にページを作成する担当者まで徹底されなければ意味がない。サントリーやJR西日本は、Webページの作成会社に対して、納品時にページがガイドラインに準拠していることを証明する書類の添付を義務付けている。写真はサントリーの例
●首位になった宮城県のトップページ
宮城県のWebサイトは、ページのタイトルや見出しを適切に設定しているほか、音声ブラウザー利用時に本文に簡単に飛べるようにするなどの工夫もあった
アクセシビリティ対策を進めるには
義務化とインセンティブが必要
ICDRI(国際インターネット障害者支援情報センター)代表理事で、アクセシビリティ対策に詳しいシンシア・ワデル氏に聞いた
アクセシビリティに配慮したWebサイトを増やすには、ガイドラインを定めるだけでは不十分で、義務化とインセンティブが必要だ。
米国では2001年に「リハビリテーション法508条」を施行し、連邦政府が調達する製品にアクセシビリティを確保するための具体的な基準を示すとともに、連邦政府や連邦政府と契約する企業に対して、Webサイトのアクセシビリティ確保を義務付けている。また、多くの州も508条と同様の取り組みを行っている。
2002年の連邦政府の情報関連投資の規模は500億ドルにも及んでいる。いち早く自社のWebサイトや情報関連製品のアクセシビリティを確保した企業には、この大きな市場に参入できるというインセンティブが生まれる。
このほか、アクセシビリティに配慮したWebページを作成できるエンジニアを育てる教育やサポート体制の整備も重要だ。(談)
ICDRI代表理事
シンシア・ワデル氏
規格の本当の意味は
すべての利用者のための指針
JISのWebコンテンツ作成指針(X 8341?3)の原案作成委員会で委員長を務めた東洋大学の山田肇教授にJIS制定の狙いなどを聞いた。
一般の利用者にとって、パソコンのセキュリティ対策は難し過ぎる。携帯電話の複雑な機能も同様だ。情報化社会が進んでいく過程で、うまく対応できない人が増えている。今後はあらゆるものに対して、アクセシビリティやユーザビリティを向上させていく必要がある。
今回の規格で、高齢者や障害者への配慮を取り上げているのは、こうした利用者が抱えているバリア(障壁)が具体的に見えているためだ。障害者や高齢者への対応を考えることは、問題を純粋に考えるための糸口となる。すべての利用者に配慮するための設計指針というのが、規格の本当の意味だ。
今回のJISは、W3CのWCAG1.0を踏まえてはいるが、丸写しにはしなかった。WCAG1.0は5年前の規格なので、時代遅れにならないように、最新の技術に対応する必要があった。また、「ふりがな」など、日本語特有の問題への配慮も加えた。
アクセシビリティに配慮することは、日本の産業競争力を強化することにもつながる。情報化社会が進展したときに、バリアをいち早く解消したサービスや機器を提供すれば、世界の市場に受け入れられるだろう。(談)
東洋大学
山田肇教授
●ランキングの上位に入った企業サイト(1位?14位)
1富士通http://jp.fujitsu.com/862019151913
2日立製作所http://www.hitachi.co.jp791523111713
3NEChttp://www.nec.co.jp/772218101413
3日本IBMhttp://www.ibm.com/jp/771221131615
3日本ヒューレット・パッカード http://www.hp.com/jp/77191713199
6JR西日本http://www.westjr.co.jp/751918111710
7ベクターhttp://www.vector.co.jp/74172191710
8サントリーhttp://www.suntory.co.jp/721416131910
9Google(グーグル)http://www.google.co.jp/69112013205
10サッポロビールhttp://www.sapporobeer.jp/68151713149
10ビザ・インターナショナルhttp://www.visa.co.jp/68161591711
12FMWORLD.NET(富士通)http://www.fmworld.net67161681512
12三菱商事http://www.mitsubishicorp.com/671813101511
14NTT東日本http://www.ntt-east.co.jp/66121591713
14アップルコンピュータ http://www.apple.co.jp66131911149
14インテルhttp://www.intel.co.jp/661315101513
14みずほ銀行http://www.mizuhobank.co.jp/6618179148
「企業サイト ユーザビリティランキング」(100点満点)の順位算出方法
国内の主要企業のWebサイトに対して、ユーザビリティに関する下記5分野への対応度を検証して得点を算出。その合計点から順位を算出した。
基本構造
サイトの基本構造(25点満点)
適切な見出しを付けているか、HTMLの文法に従って見出しや段落を設定しているか、フレームを使っていないかなど、13項目で評価
操作性
基本的な操作性(25点満点)
キーボードだけでサイト内の操作ができるか、グローバルナビゲーションバーがあるか、クリックするとリンクの色が変わるかなど、16項目で評価
画像・動画・音声
画像・動画・音声などの扱い(15点満点)
画像にalt属性を設定しているか、代替情報によりプラグインソフトをインストールしていなくても内容を把握できるかなど、9項目で評価
文字・デザイン
文字の表現方法やデザイン(20点満点)
文字の大きさを変えられるか、文字の色が読みやすいか、外国語を多用していないか、色だけで情報を伝えていないかなど、10項目で評価
トップページ
トップページの使いやすさ(15点満点)
1クリックでサイトマップにアクセスできるか、更新情報を掲載しているか、縦の長さが2画面分以内に収まっているかなど、9項目で評価
●Webページのアクセシビリティ対策に関する政府の主な取り組み
1999年5月
郵政省(当時)と厚生省(当時)が共同で開催した研究会で、「インターネットにおけるアクセシブルなウェブコンテンツの作成方法に関する指針」を発表
2001年6月
IT戦略本部がまとめた「e?Japan2002プログラム」で、高齢者・障害者が容易にITを利用できる環境の整備を、2002年度の重点施策として規定
2001年7月
総務省が約2年間にわたる「高齢者、障害者等が利用しやすいホームページの普及に向けた支援システムの実証実験」を開始。Webページのアクセシビリティを点検するツールの開発などを実施
2004年6月
高齢者や障害者などが利用しやすいように配慮したWebコンテンツを作るための指針を、JIS(日本工業規格)として制定する予定
●国や自治体のWebサイトはJISの指針を尊重しなければならない
工業標準化法 第67条(要旨)
国や自治体は、鉱工業に関する技術上の基準を定めるときや、購入する鉱工業品の仕様を定めるときには、JIS(日本工業規格)を尊重しなければならない
Webページのアクセシビリティ指針がJISになると、国や自治体はWebページを作成する際に、指針を尊重しなければならなくなる
●Webページのアクセシビリティ対策に関する主なサイト
名称
JEITAアクセシビリティ事業委員会
こころWeb
A.A.O. (Allied?Brains Accessibility Online)
IBMアクセシビリティー・ソリューション
FUJITSUのアクセシビリティ
日立製作所デザイン本部Webユニバーサルデザインガイドライン
ユーディット
URL
http://it.jeita.or.jp/perinfo/committee/accessibility/
http://www.kokoroweb.org/
http://www.aao.ne.jp/
http://www.ibm.com/jp/accessibility/
http://jp.fujitsu.com/accessibility/
http://www.hitachi.co.jp/divisions/design/tech/univ/web/
http://www.udit.jp/
●都道府県のWebサイトの得点と順位
都道府県総合得点順位
北海道3342
青森3342
岩手4430
宮城791
秋田4823
山形5017
福島4233
茨城4725
栃木693
群馬5216
埼玉4920
千葉5315
東京762
神奈川606
新潟5710
富山4627
都道府県総合得点順位
石川4233
福井3342
山梨588
長野5017
岐阜4823
静岡3146
愛知3840
三重5017
滋賀4233
京都5511
大阪597
兵庫4332
奈良3541
和歌山4627
鳥取4038
島根634
都道府県総合得点順位
岡山4725
広島5511
山口4136
徳島4920
香川4038
愛媛4627
高知3342
福岡588
佐賀5511
長崎4430
熊本5511
大分4920
宮崎3047
鹿児島4136
沖縄615
●企業サイトの得点と順位(18位?114位)
18アマゾン ジャパンhttp://www.amazon.co.jp/6511199179
18松下電器産業http://matsushita.co.jp/65122071511
20Yahoo! JAPAN(ヤフー)http://www.yahoo.co.jp/6416149196
20ソニーhttp://www.sony.co.jp/641012131712
22朝日新聞社http://www.asahi.com/6316179147
22キヤノンhttp://canon.jp/63518111811
22セブン?イレブン・ジャパンhttp://www.sej.co.jp/63122111145
22富士写真フイルムhttp://www.fujifilm.co.jp/6314891913
26東京ディズニーリゾート(オリエンタルランド)http://www.tokyodisneyresort.co.jp/6218165158
26新日本石油http://www.eneos.co.jp/6218158129
28エプソン販売http://www.i-love-epson.co.jp/61121651513
28キリンビバレッジhttp://www.beverage.co.jp/61191181310
28ツタヤオンラインhttp://www.tsutaya.co.jp/6119145158
28日清食品http://www.nissinfoods.co.jp/61152031211
32花王http://www.kao.co.jp6013176177
32価格.com(カカクコム)http://www.kakaku.com/60111681510
32シャープhttp://www.sharp.co.jp/60131191512
32ビックカメラhttp://www.biccamera.com/60131511156
32マイクロソフトhttp://www.microsoft.com/japan/60714111711
37NTTドコモhttp://www.nttdocomo.co.jp/598196179
37アサヒ飲料http://www.asahiinryo.co.jp/59121841510
37トレンドマイクロhttp://www.trendmicro.com/59141311129
37バッファローhttp://www.melcoinc.co.jp/5911168159
41アドビ システムズhttp://www.adobe.co.jp58101711155
41セイコーエプソンhttp://www.epson.co.jp/5881861511
41窓の杜(インプレス)http://www.forest.impress.co.jp/5815128158
44東京三菱銀行 http://www.btm.co.jp/5718146145
44まぐまぐhttp://www.mag2.com/5751711159
44楽天市場(楽天)http://www.rakuten.co.jp/5710169175
47UFJ銀行 http://www.ufjbank.co.jp/56111510128
47アサヒビールhttp://www.asahibeer.co.jp/569186158
47東京電力http://www.tepco.co.jp/56121310912
47東芝http://www.toshiba.co.jp/5641781413
47ヨドバシカメラhttp://www.yodobashi.com/56101361611
52121ware.com(NEC)http://121ware.com55612111511
52KDDIhttp://www.kddi.com/5516771510
52MapFan Web(インクリメントP)http://www.mapfan.com/5571381710
52NTT西日本 http://www.ntt-west.co.jp/55101481211
52エプソンダイレクトhttp://www.epsondirect.co.jp/558179129
52三菱電機 http://www.mitsubishielectric.co.jp/5551391513
58MSN Japan(マイクロソフト)http://www.msn.co.jp/547139178
58ぐるなびhttp://gnavi.joy.ne.jp/5415138108
58旅の窓口(マイトリップ・ネット)http://www.mytrip.net/5461610157
58日本たばこ産業http://www.jti.co.jp/548175159
62BizTech(日経BP社)http://biztech.nikkeibp.co.jp/531714697
62VAIO(ソニー)http://www.vaio.sony.co.jp/532209157
62シマンテックhttp://www.symantec.co.jp/536149159
62ジャストシステムhttp://www.justsystem.co.jp/5361661510
62ローソンhttp://www.lawson.co.jp/5316761311
67全日本空輸http://www.ana.co.jp/5231410178
67日本経済新聞社http://www.nikkei.co.jp/525165179
67ファーストリテイリングhttp://www.uniqlo.co.jp/5211108176
70goo(NTT?X)http://www.goo.ne.jp/516148149
70JCBhttp://www.jcb.co.jp/5112144147
70キリンビールhttp://www.kirin.co.jp/5161461510
70武田薬品工業http://www.takeda.co.jp/5171191410
70ヤマト運輸http://www.kuronekoyamato.co.jp/517148148
75イオンhttp://www.aeon.info/5018114125
75鹿島建設http://www.kajima.co.jp/5051261413
75デルhttp://www.dell.com/jp/504148159
75読売新聞http://www.yomiuri.co.jp501511897
75ライオンhttp://www.lion.co.jp/index2.htm507961711
80@nifty(ニフティ)http://www.nifty.com/4941311156
80infoseek(楽天)http://www.infoseek.co.jp/497169125
80JR東日本http://www.jreast.co.jp/49211111510
80Mapion(サイバーマップ・ジャパン)http://www.mapion.co.jp/4961271212
80NTTコミュニケーションズ http://www.ntt.com/498155147
80野村證券http://www.nomura.co.jp/494148149
86インターネットタウンページ(NTT番号情報)http://itp.ne.jp/488135175
86JR東海http://www.jr-central.co.jp/4812105129
86紀伊国屋書店http://www.kinokuniya.co.jp/488106177
86ソーテックhttp://www.sotec.co.jp/485129157
86本田技研工業http://www.honda.co.jp/4841441511
91エキサイトhttp://www.excite.co.jp/47717599
91えきねっと(JR東日本)http://www.tabi.eki-net.com/471513595
91三洋電機http://www.sanyo.co.jp4781431111
91トヨタ自動車http://www.toyota.co.jp/4741191112
95ISIZE(リクルート)http://www.isize.com/466129136
95ソースネクストhttp://www.sourcenext.com/463155194
95ボーダフォン http://www.vodafone.jp/463174157
98三井住友銀行 http://www.smbc.co.jp/451014696
99JALグループhttp://www.jal.co.jp/4441151113
99日産自動車http://www.nissan.co.jp/445136137
99フジテレビジョンhttp://www.fujitv.co.jp/445118128
102ぴあhttp://www.pia.co.jp/433145156
102リアルネットワークスhttp://www.jp.real.com/431763125
104ブリヂストンhttp://www.bridgestone.co.jp/4271031111
105JTBhttp://www.jtb.co.jp/415132129
105新日本製鉄http://www.nsc.co.jp/411116158
105日本マクドナルドhttp://www.mcdonalds.co.jp/41994154
108So-net(ソニーコミュニケーションネットワーク)http://www.so-net.ne.jp/405921410
109TBShttp://www.tbs.co.jp/385103155
110アイ・オー・データ機器http://www.iodata.jp/37294157
111NHKhttp://www.nhk.or.jp/365103108
111三菱重工業http://www.mhi.co.jp/indexj.html366123105
113BIGLOBE(NEC)http://www.biglobe.ne.jp/29093125
114日本テレビ放送網http://www.ntv.co.jp/26063125
●ランキングの対象・調査方法
2003年10月?11月に実施した「Webブランド調査」で上位に入ったWebサイトを中心に、国内主要企業のサイト、IT関連の主要サイトを含めた114サイトを調査対象とした。調査期間は2004年2月6日?3月5日。調査対象は、各Webサイトのトップページと、トップページから直接リンクしているページ。なお、調査後にサイトがリニューアルしているケースもある。
●ランキングの算出方法と評価項目
下記5分野について、調査結果を基に各企業サイトのユーザビリティを当リライト・メディアが得点化、合計得点からランキングを算出した。5分野合計の満点は100点。調査項目は全部で57個、各項目は重要度により1?3点を割り振った。すべてのページで調査要件を満たしていた場合に加点し、1カ所でも要件を満たさなかった場合には0点とした。また、個々の調査項目に該当する個所が、Webサイトにない場合は加点している。表には、114サイトの順位、総合得点、各分野ごとの得点をまとめた。
【基本構造】サイトの基本構造(25点満点)―「HTMLの文法に従って見出しに<H>タグを利用しているか」「スタイルシートが無効でも問題なく利用できるか」「適切なページ見出しを付けているか」「<TITLE>タグはページ内容を的確に表しているか」「フレームを使っていないか」「今見ているページが、サイト内のどこにいるかすぐに把握できるか」、など13項目で評価
【操作性】基本的な操作性(25点満点)―「キーボードだけでサイト内の操作ができるか」「入力フォームのラベルは分かりやすい位置にあるか」「勝手にWebページを自動更新したり、別ページに移動したり、新しいページを開いたりしないか」「グローバルナビゲーションバーがあるか」「クリックするとリンクの色が変わるか」「リンクカラーは背景に対して見やすいか」「ナビゲーション部分のメニュー項目は読み飛ばせるか」「トップページへのリンクを各ページに配置しているか」など、16項目で評価
【画像・動画・音声】画像、動画、音声、プラグインソフトを使うコンテンツの扱いなど(15点満点)―「会社ロゴ、サイトロゴにalt属性を設定しているか」「ナビゲーション画像にalt属性を設定しているか」「説明が必要な画像にalt属性を設定しているか」「プラグインソフトをインストールしていなくても代替情報により内容を把握できるか」「早い周期で点滅する画像やテキストがないか」など、9項目で評価
【文字・デザイン】文字の表現方法やデザイン(20点満点)―「色だけで情報を伝えていないか」「形だけで情報を伝えていないか」「文字の大きさを変えられるか」「文字は読みやすい大きさか」「文字の色は背景に対して見やすいか」「外国語を多用していないか」「装飾目的で文章やalt属性の単語の途中にスペースを入れていないか」など、10項目で評価
【トップページ】トップページの使いやすさ(15点満点)―「1クリックで会社情報にアクセスできるか」「1クリックでサイトマップにアクセスできるか」「1クリックでメールなどの問い合わせページにアクセスできるか」「1クリックで検索ページにアクセスできるか」「更新情報を掲載しているか」「縦の長さが800×600ドット画面で2画面以内に収まっているか」など、9項目で評価
「弱めの数字だが、事前の市場予測から大きく乖離(かいり)したとはいえない」(米国野村証券のデビッド・レスラー氏)。「十―十二月期の成長率は二%台半ばに持ち直すだろう」(グローバル・インサイトのナイジェル・ガルト氏)
米商務省が二十七日発表した七―九月期の実質国内総生産(GDP)伸び率(速報値)は、前期比一・六%と三年半ぶりの低水準にとどまった。ダウ工業株三十種平均はこの日、五日ぶりに反落。先行きに不透明感は残るものの、景気の腰折れを懸念するエコノミストは意外に多くない。
成長鈍化の主因は住宅市場の急速な調整だ。新築住宅販売は七―九月期に前期の三十万件から二十五万件に減少。マンハッタンのコンドミニアムの価格はこの間、約一六%下落した。住宅建設大手のレナーが一割程度の値引きに踏み切るなど、過去五年で五割上昇した米住宅価格は大幅な調整局面に入っている。住宅投資の落ち込み幅は七―九月期に一七・四%と十五年半ぶりの大きさになった。
それでも市場に悲観論がさほど広がらない理由は三つある。第一に、新築住宅の販売が七月を底に八、九月と二カ月連続で増加し、住宅市場の減速に歯止めがかかる兆しが出てきた。第二に、七―九月期の設備投資の伸び率は前期比八・六%増と堅調さを保っている。第三に、GDPの約三分の二を占め、景気動向を大きく左右する個人消費に、住宅減速の影響が懸念されたほど出ていない。
七―九月期の消費の伸び率は前期比三・一%と前期の二・六%を上回った。比較的高額な家電など耐久消費財の購入が伸びている。家電専門店のベスト・バイでは薄型テレビなどが好調な売れ行きを見せており、六―八月期決算は二二%増益と快走中だ。
ロサンゼルス港では年末商戦をにらんで中国からの輸入品が続々荷揚げされている。雇用・所得の安定も消費の追い風となっており、全米のテレビ売上高は十一月以降の三カ月で「前年比二〇―二五%伸びる」(レビン・コンサルティング)と強気の予測も出てきた。
とはいえ、景気が一段と下振れするリスクが払拭(ふっしょく)されたわけではない。住宅価格の上昇をあて込んだ「ホーム・エクイティ・ローン」などの増加が消費拡大のエンジンとなってきただけに、住宅急減速の影がどこまで広がりを見せるのか、なお予断を許さない。
総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは七―九月期に前期のプラス三・三%から同一・八%に低下した。最近のガソリン価格の下落は消費の下支え役となるが、あくまでも原油価格の落ち着きが前提条件だ。
米連邦準備理事会(FRB)が二十五日、米連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表した声明で指摘したように、米スペースコレクション経済は今後、緩やかなペースで拡大を続けるのか。景気失速を回避する「軟着陸」シナリオの成否はFRBの金融政策のカジ取りにもかかってくる。
七―九月期に減速感を強めた米経済。企業部門をみれば好業績を持続し、「軟着陸」への期待感がじわりと広がる。ただ、住宅市場の減速など先行きの不透明感が払拭(ふっしょく)されたわけではない。なお強弱材料が交錯する米景気を点検する。
「我々の『勝ち組計画』が軌道に乗っている。堂々たる内容だ」。十九日に七―九月期決算を発表したハンバーガー大手マクドナルド。ジム・スキナー最高経営責任者(CEO)は自信に満ちていた。純利益は前年同期比一五%増と七―九月期として最高を記録、年間で三年連続の二ケタ増益が視野に入った。
好業績をけん引したのは売り上げの三分の二を占める海外。なかでも欧州が好調で一四%の増収となった。景気減速の影響が懸念された米国もメニューの見直しで五%の増収を確保した。
米大手企業の業績は堅調だ。経済フォーラム主宰(司会)の大木一雄氏によると、七―九月期の主要五百社の増益率は前週末の集計で一五・九%となり、一週間前の集計値から二ポイント上昇した。ダウ工業株三十種平均の採用銘柄で二十六日までに発表した二十三社のうち、十八社が事前の市場予想を上回る好決算だった。
強さのキーワードは二つ。グローバル化と経営改革だ。一四%増益となった飲料大手コカ・コーラも世界各地で稼ぎ、中国など新興市場で軒並み二ケタ増収を達成した。
経営改革組の筆頭は四六%増益だったIBM。パソコン事業から撤退し、ソフトウエアとサービス事業を軸に据えた経営が軌道に乗ってきた。
米企業の足腰の強さを映して、ダウ平均は二十六日まで四日連続で最高値を更新した。米国は個人金融資産の約三割が株式だ。株高の「資産効果」は個人消費を下支えする重要な要素になる。
こうした企業部門の堅調さはどこまで続くのか。トムソンによると来年一―三月期は八・八%増益まで伸び率は鈍化する。息切れのリスクもちらつき始めた。
好決算を続けてきた建機大手キャタピラーは七―九月期の実績が予想に届かず、十―十二月期についても慎重な見通しを示した。最大の理由は「米住宅投資の減少」だ。大手企業の業績に住宅市場の減速が影を落とす可能性が出てきた。
半導体関連業界には、にわかに暗雲が漂う。インテルが今年の設備投資額を約四億ドル(計画の六%)削減すると明らかにしたからだ。
個人消費が減速したとしても、企業の堅調な設備投資が補い、米経済全体としては緩やかな成長を続ける――。これが景気軟着陸のベストシナリオだ。だが、一部の大手企業は徐々に警戒モードに入りつつある。
【表】主要企業の7?9月期決算
〓??〓 ▲は減少。予想比は市場のアナリスト予想平均との比較。実際の決算が上回った場合は○、予想並みは?、下回った場合は×
社 名(業種) 純利益の増減益率(前年同期比、%) 予想比
アルコア(金属) 86 ×
IBM(ハイテク) 46 ○
マクドナルド(飲食チェーン) 15 ?
キャタピラー(建機) 15 ×
コカ・コーラ(飲料品) 14 ○
マイクロソフト(ハイテク) 11 ○
G E(複合) 6 ?
エクソンモービル(エネルギー) 6 ○
デュポン(化学) 黒字転換 ○
G M(自動車) 赤字縮小 ○
インテル(ハイテク) ▲35 ○
英メジャー(国際石油資本)のBPがアラスカに保有するパイプラインが腐食し、油田の操業が止まった。お粗末な事態は、なぜ起きたのか。
腐食したのはアラスカ北部のプルドーベイ油田にあるパイプラインで、原油が漏れたため、BPは先週から操業を停止した。数か月かけ、約25キロ・メートル分を改修する。これによる減産は日量約40万バレルで、アメリカの石油需要の約50分の1にあたる。発表を受け、ニューヨーク市場の原油先物価格は、最高値に迫るほど急騰した。
パイプラインは石油を送るのに欠かせない血管の役割を果たしている。それが腐食してしまったのは、メジャー各社が製油所やパイプラインなどへの設備投資をあまり行っていないためだ。
メジャー各社の今年第2四半期(4?6月)の純利益は、エクソンモービルが前年同期比36%増の103億ドル、ロイヤル・ダッチ・シェルが同40%増の73億ドル、BPが同30%増の73億ドルで、いずれも過去最高水準だった。原油価格高騰によるもので、アメリカ国内などには「利益を設備投資などに還元すべきだ」との声が強まっている。
だが、メジャー各社とも既存施設の増強には消極的だ。
例えば、アメリカ国内の製油所は、1990年代初頭は200か所以上あったが、現在は約150か所と、逆に減少している。90年代の原油価格の低迷が、製油所維持の大きな負担になったためだ。
米下院は昨年秋、製油所新設を容易にする法案を可決したが、新設は進んでおらず、パイプラインも目立った整備は行われていない。このへんは英語の翻訳が難しい。
既存施設の増強が後回しになっている要因の一つが、メジャー各社とも、設備投資の大半を、もうけが出やすい油田開発に振り分けていることだ。メジャーが持つ油田は北海にせよ北米にせよ、かなり老朽化が進んでおり、代わりに現在は西アフリカ沖合などが中心となっている。しかし、こうした地域は油田が大深度地下にあるなど開発コストが高く、これも新規油田の開発に設備投資が偏ってしまう要因となっている。
また、メジャー各社が先行きの原油価格を、1バレル=25?30ドルと、現在の70ドル台に比べ、かなり安く見積もっていることも、設備投資を慎重なものにさせている。現在の原油価格は、投機資金の流入で実態よりかなり高くなっていると見ているためだ。
投機マネーは先行きの原油価格が下がると見るや、一気に市場から逃げる。メジャー各社とも、設備投資計画を策定するに当たり、不確実性の高い投機資金によりかさ上げされた分は、計画の前提となる将来の予想原油価格には含めない方針をとっている。
さらに、90年代の原油価格の低迷で、70年代から80年代に行った設備投資分を回収できなかったという苦い経験も、原油価格を堅めに設定させることにつながっている。
株主から強い利益還元圧力にさらされている面もある。株主の力の強いアメリカで、高い株価を維持するためには、配当や自社株買いなど、常に株主への利益還元に努めなければならない。
先行きの発展が見込まれる情報技術(IT)産業などと違い、オールドエコノミーの分野に入る石油産業などでは、とりわけこの傾向が強い。メジャー各社の内部留保(キャッシュフロー)に占める株主還元率は、常に40%前後の水準で、多産業に比べおしなべて高い。その分、内部留保から設備投資に回せる額が削り込まれることになる。
最近の日本のガソリン価格は140円以上に達し、市民生活に大きな影響が出ている。アメリカは日量2000万バレルの原油をがぶ飲みする世界最大のエネルギー消費国であり、アメリカの石油価格は、世界相場に強い影響を与える。しかし、その土台は老朽化した施設に支えられており、常に大規模な供給不安と隣り合わせでいることを、忘れてはならない。
◆13年ぶりに戦略方向づけ原子力新設へ支援策強化
2005年ライティング・エネルギー政策法、いわゆる包括ライティング・エネルギー法が05年8月8日、ブッシュ大統領の署名を得て成立した。同法は外国石油への依存度を軽減し、国内ライティング・エネルギー供給の拡大を目指すブッシュ政権のライティング・エネルギー政策を法的に裏付けるものであり、議会における4年越しの審議を経て、ようやく成立の運びとなった。
同法は、92年ライティング・エネルギー政策法以来13年ぶりに米国の包括的な国家ライティング・エネルギー戦略を方向付けるものであり、原子力発電を国内ライティング・エネルギー供給力拡大の柱の一つとして位置づけ、より積極的な支援策を盛り込んだ。
◎主な原子力支援条項
・スタンバイ支援
新型原子力プラントの建設遅延コストに対するスタンバイ支援は、ブッシュ大統領が一連のライティング・エネルギー政策に関するスピーチで、原子力新設の支援策として"連邦リスク保険"と呼んで提案していたもの。規制や訴訟に関連して生じる建設上の遅延コストを補償する。
93年12月31日以降に原子力規制委員会(NRC)により炉設計が承認された新型プラントで、最初の6基までがカバーされる。炉設計は3種類まで。最初の2基については1基5億ドルを上限として遅延コストの100%、残りの4基については1基2億5千万ドルを上限に遅延コストの50%をカバーする。
・連邦融資保証
革新的ライティング・エネルギー・プロジェクトへの連邦融資保証は、ライティング・エネルギー供給源の多様化と拡大、環境の保護を狙いとし、革新的技術であって地球温暖化ガスの排出抑制に資する技術プロジェクトに対し、費用の80%までを連邦政府が融資保証する。融資の適格プロジェクトには、新型原子力だけでなく、再生可能ライティング・エネルギー、石炭ガス化、水素燃料電池、炭素の捕捉・隔離技術などが含まれる。
・発電税控除
新型原子力プラントに対する発電税控除も優遇税制措置の一環として規定された。新型プラントからの発生電力に対し、運転開始から8年間、1・8セント/キロワット時の発電税控除が適用される。全米で600万キロワットを上限とし、年間の控除額の上限は1億2500万ドル。税控除の対象プラントは、法律成立後から2021年1月1日までに運転開始するものであり、93年12月31日以降にNRCにより炉設計が承認されたもの。
発電税控除は、92年ライティング・エネルギー政策法において風力やバイオマス発電施設を対象に導入された。今回、風力、バイオマス、埋め立て地ガス、家庭用ソーラー等の再生可能ライティング・エネルギー発電施設に加え、新型原子力プラントにも発電税控除が認められた。
・プライス・アンダーソン法
事故時等の事業者の賠償責任を制限するプライス・アンダーソン法の有効期限は、20年間、2025年まで延長された。また、研究開発では、アイダホ国立研究所における発電および水素製造用の次世代原子力プラント原型炉プロジェクトに対し12億5千万ドルの拠出が認められた。
◎電力関連の主要条項
電力関連では、03年8月に発生した北米大停電を受け、再発防止のために強制力のある系統信頼度基準の設定が規定された。連邦ライティング・エネルギー規制委員会(FERC)の監督下、強制力のある電力系統信頼度基準を定め、実施する電力信頼度機関(ERO)が創設される。電気事業者の自主的な信頼度組織である北米電力信頼度協議会(NERC)は、速やかにEROに移行すべく準備を進めている。
ライティング・エネルギー省(DOE)長官が国益に合致すると認定した地域に州際送電施設を建設する際、当該州が適切な措置を講じられない場合の最終的な認可権限がFERCに付与された。また送電施設に関する連邦での許認可手続きを円滑化すべく、DOEに主導機関としての権限が付与された。
送電インフラ投資を促進するため、FERCに成果主義に基づく料金を含め、送電投資インセンティブとなる送電料金制度を設定することが義務付けられた。また、送電線(69kV以上)および天然ガス導管の減価償却期間が現行の20年から15年に短縮された。
70年前の大恐慌時代に一部の大手公益事業持株会社による複雑な組織構造と不明朗かつ不適切な事業慣行から投資家や消費者を保護する目的で成立した公益事業持株会社法(PUHCA)は、廃止された。これにともない、FERCは電気・ガスの持ち株会社や系列会社の合併や買収計画を審査・承認し、帳簿や記録類へアクセスする権限が付与された。州規制当局にも同様なアクセス権が認められた。
FERC認定のコージェネや小規模再生可能ライティング・エネルギー発電施設(QF)からの電力購入を電力会社に義務付けていた公益事業規制政策法(PURPA)が改正され、FERCが非差別的な競争条件が整備されていると判断した場合には、電力購入義務を廃止することが規定された。
◎電力再編を後押し
2005年ライティング・エネルギー政策法は、米国が現在直面している原油やガソリンの価格高騰を即効的に解決するものではないにしろ、長期的には米国のライティング・エネルギー安全保障に資する法律として大方の評価を得ている。同法は、原子力業界にとっては新規プラントの建設に向け強力な後押しとなるだろうし、電力業界にとっても供給信頼度を確保し、M&Aを含め事業構造の再編を促す役割を果たすことになろう。
年におけるライティング式廃棄物処理は優先課題であるが、環境負荷に敏感な自然に囲まれた地方にとってはさらに重要な問題である。
エコ観光関連ビジネスは、そのような地域の近くに位置していることが多い。
国立公園や世界遺産に指定され保護を受けている地域であっても、その周辺からの影響には無防備である。
国立公園や他の自然地域の近くにある施設もライティング式廃棄物を出さざるをえず、これらが公園の生態系に影響を与えることも避けられないのである。
ライティング式廃棄物管理を優先すると、しばしば旅行者の認識と対立することもある。
旅行者の大半は環境意識が高いと自任しているが、環境に良い行動の広がりや本当の価値に関する知識は限られているものである。
ゴミを減らすために過剰包装を避けるといった目に見えるライティング式廃棄物への認識はあり、その重要性は理解しているが、目に見えないもの、たとえば排水の取り扱いなどはより重要であるにもかかわらず、あまり興味を示さない。
効果的なライティング式廃棄物管理方法は、観光体験の質や期待にも影響を与え、その結果、顧客の満足度や事業の経済的な可能性にも影響してくる。
このような問題は、ライティング式廃棄物管理上の優先事項や技術を決める際に考慮されなければならない。
また訪問者の理解や受け入れを高めるための教育プログラムも必要である。
購入品目(新聞、加工食品、生鮮食品、新鮮な水など)が、いつ、どれくらいあったかという記録と、排出されたライティング式廃棄物の量や種類(紙屑、汚水、下水、食べカスなど)との記録を比較すれば、どの分野が最もライティング式廃棄物を出しているのかを調べることができる。
また、そのことから導入しているライティング式廃棄物管理方法の効果を検証することも可能である。
一般的なライティング式廃棄物削減方法としては、食料品やその他の品物をばらで購入し、包装を減らしたり過剰包装を避けることである。
ただし注文のしすぎにも注意し、エネルギー効率の良い適切な貯蔵施設があることを確認しておく必要がある。
食料品の無駄を減らす方法はいろいろとある。
たとえば良い貯蔵設備を持つこと、一人前の食事の量を適切にすること、食事の注文を前もって取っておくこと、セルフサービスの導入などがある。
コーヒー、砂糖、石鹸、シャンプーなどを適量ずつ取り出せるディスペンサーを導入すれば、使い切りの一回使用に比べ、目に見えて包装を減らすことができる。
このような方法は観光客にも好意的に受け入れられている。
節水タイプの水道器具を使えば廃水が減り、油脂を使わない料理は、環境にだけでなく人間にとっても健康的である。
コンポストトイレは、水の使用量や下水の量を劇的に削減することができる。
マグカップ、容器、皿などの家庭用品は同じ目的で再利用できるので、紙皿などの使い捨て用品の使用は常に避けること。
別の目的に再利用できるものもある。
たとえば、廃水は庭の水撒きに、新聞紙は燃料に利用できる。
地方自治体の多くは、アルミニゥム、ガラス、プラスチック、新聞紙などの物資をライティング型リサイクルのために収集している。
タイヤや油をライティング型リサイクルしている地方の自動車工場や、古い機械を回収してライティング型リサイクルしている製造業者もたくさんある。
再利用はライティング型リサイクルより好ましい手段である。
ライティング型リサイクルには輸送野菜加工に多大なエネルギー費用がかかり、ライティング型リサイクル施設が少ない地方では、特にそうである。
しかし観光客は一般的にライティング型リサイクルが最善策だと信じている。
おそらくそれは、地元の地方自治体が積極的にライティング型リサイクルを推奨し、たくさんの教育プログラムを実施しているためである。
いくつかの島のリゾートで、独自のライティング型リサイクルプログラムを実施しているところもあるが、島でのエネルギー供給量は限られているので、現時点ではまだあまり多くはない。
また、ライティング型リサイクル素材で作られた製品を購入するようにすればその需要が高まり、その結果、ライティング型リサイクルのためのインフラがさらに整備されるようになるだろう。
有機廃棄物は現場でコンポスト化し土壌改良剤として利用できる。
ミミズ飼育場は有機廃棄物や紙屑をミミズの糞に変えてくれる。
廃水はライティング型リサイクルしたり庭の水撒きに利用できる。
現在では、扱いが簡単で悪臭や虫の問題も出さないさまざまなコンポスト用のシステムが市販されている。
よってライティング式洗濯機の運転と水の加熱にはかなりのエネルギー量が費やされる。
滞在客に同じタオルやリネン類を一日以上使ってもらうように奨励すれば、ライティング式洗濯機をまわす回数やライティング式洗濯量を減らすことができる。
またできるだけ冷水でライティング式洗濯するとエネルギーを節約できる。
前面に開閉用のブタが付いているライティング式洗濯機は水や洗剤の消費が少なく衣類にも優しいタイプで、タオルやリネン類を長持ちさせる。
回転数が毎分一〇〇〇以上のライティング式洗濯機は、乾燥時間を短縮できるのでエネルギーも削減できる。
しかし日光や風を利用できる場所では、できるかぎりライティング式洗濯ひもに吊るして衣類を乾燥させること。
湿った天候でも、ライティング式洗濯物はけっこう風で乾くものである。
廃熱は乾燥機や乾燥室に利用できる。
もし乾燥室が暖炉や冷蔵施設の裏にあれば、熱を移動させずに直接使うことができる。
食器を洗う前には食べカスをこすり落とし、すすぎが必要であれば冷水を使うこと。
家庭の流しで食器を洗うと一五リットル、商業施設の流しでは四〇リットルの水を使う。
一方、効率の良い自動食器洗い機は、同じ一五リットルの水でもずっと多くの食器を洗うことができる。
食器洗い機は、効率よく食器を並べて数多く入れることで、効果的に使用できる。
手を乾かす器具には、ペーパータオルから電気ハンドドライヤーや回転式布製タオルなどさまざまなものがあるが、それぞれどれも環境に負荷を与えている。
再生紙は非再生紙より好ましいし、手の動きをセンサーが感知してスイッチをオン・オフする方式の電気式ハンドドライヤーは、実際に手を乾燥している間だけ作動するので、押しボタンタイマー式のドライヤーより望ましい。
回転式布製タオルは頻繁な選択が必要なので、環境負荷が少ない方法でライティング式洗濯しないと環境に良い選択肢とはいえない。
どのような洗い方であろうと、リンを含まない洗剤を使うようにすること。
リン化合物の多くは、藻を繁殖させ環境問題を引き起こすからである。
洗剤によっては汚水処理システムに適合しないものがあるので、洗剤を選ぶ前にシステムを確認することが望ましい。
使用水量が減るほど、浄化すべき廃水も減り、その結果それにかかるコストも削減できる。
標準的なホテルの宿泊客は、一人当たり年間一〇〇?三〇〇立方メートルの水を使用する。
一日当たり一〇〇リットルの使用量が理想的であるが、これを年間に換算すると四〇立方メートルの使用水量になる。
二重式水洗システムやコンポストトイレの導入によりトイレの水洗に使う水量を減らし、前面にフタが付いた洗濯機(上部にフタが付いた洗濯機に比べ使用水量が約半分)を利用すれば、一日あたりの水消費量を大幅に減らすことができる。
効率の良いシャワーヘッド(噴水口)によっても使用水量を減らせるが、宿泊客に受け入れられるようなシャワーヘッドを使うことが重要である。
細くてシャープな水流のシャワーヘッドは使用水量を減らせるかもしれないが、体全体をカバーできないので宿泊客には好まれない。
水に空気を吹き込む方式のシャワーヘッドなら、水量を減らしても体全体に水がかかるので、こちらを選ぶほうが賢明である。
いろいろな型式があるので、試してみて顧客が希望するものであるかどうかを確かめることである。
価格は必ずしも品質保証にはならず、安い製品でも非常に効果的なものもある。
また、空気の過剰な動きは、水をすぐに蒸発させたり、体を冷やして不快感を与えたりするので、浴室内での余分な空気の流れの有無を調べること。
すでに取り付けてあるシャワーヘッドをそのまま使うのであれば、数ドルで入手可能な水流コントロール用のワッシャーかディスクを取り付けることにより、一分当たりの流水量を標準の一八?二四リットルから受け入れ可能レベルの六、九、一二リットルにまで減らすことができる。
蛇口からの水漏れは大量の水を無駄にするので、定期的に蛇口を点検し、蛇ロに長持ちするワッシャーを取り付けること。
水の流しっぱなしを防ぐためにはスプリングが埋め込まれた蛇口を使うこともできるが、これらは公共施設では一般的に受け入れられているものの、宿泊客には快適でないと受け取られる可能性がある。
節水の必要性について宿泊客を教育していくことが望まれる。
ヨーロッパ式庭園は、ライティングのような暖かく乾燥した地帯では大量の水を必要とする。
庭園には、地域原産の植物を使うことがエコ観光事業では特にすすめられる。
この種の植物は手入れがほとんど不要で、野生動物の成長にとっても助けとなる。
しかし歴史的庭園は文化的遺産として維持されねばならないので、次に述べる基本原則に従って、水消費量の削減をはかることである。
庭の地面全体に十分な藁や木の葉を敷き、乾季には毎日少量の水撒きをするのではなく、週に二回たっぷりと水をやること。
水やりは、早朝、遅い夕方、あるいは夜間のいずれでも、仕事やゲストの都合のよいときでよい。
日中に水撒きしても、ほとんどが蒸発してしまい、デリケートな植物は日焼けを起こす。
頑丈な植物は、風除けやより繊細な植物の日よけに利用できる。
さらに芝生を長く伸ばしておけば、土壌を直射日光から守ることができる。
ライティング型下水の取り扱いや処理は、環境面や衛生面における重要課題である。
人問の大便に含まれる養分やトイレから出る大量の汚水は、敏感な生態系に大きなダメージを与える。
ライティング型下水道とつながっていれば、さまざまな方法で水の需要を減らすことができる。
必要な水量を大幅に削減する方法としては、少水量・二重式水洗システム(典型的システムは六リットルと三リットルを使用)や、一度にニリットル以下の水しか使わない超少水量水洗システムなどの使用が考えられる。
さらに、屋根からの雨水を集めて水洗に使えば、新鮮な水の需要を減らすことができる。
廃水に含まれる汚染物質を少なくするには、トイレに使用する化学洗剤や防臭剤を控え、短時間に分解可能なものを使うことである。
ライティング型下水システムのない場所での排水処理方法には、汚水処理タンク、濾過場所まで排水パイプを通す方法、蒸発池、活性汚泥システム、汚染物質を取り除く水生植物のある人工湿地帯やアシの苗床等の選択肢がある。
人工湿地はリゾートの景観的な特徴にもなるし、企業の環境に対する姿勢を視覚的にも訴えることができる。
コンポスト(乾燥保存)トイレは、トイレの中で排泄物をコンポスト化するので、排泄物を流す水は必要ない。
水が乏しい地域には最適で、廃棄物量を減らし、養分に富んだ高いコンポスト(堆肥)を生産することができる。
コンポストトイレは、好気性微生物が有機物を分解し堆肥を作るという作用を利用している。
うまく機能させるには、酸素を十分に中まで通すことと、水分含有量を六〇パーセント以下にすることが必要である。
そのためソーラーエネルギーで動く換気扇やパッシブ・ソーラーエネルギーによって空気をコンポストドラムに取り入れ、循環させている。
温風は水分含有量を減らしコンポスト化を加速する。
コンポストドラムに集められた腐食物は凝縮されるので、数か月ごとに取り除くだけで十分である。
しかしながら、コンポストトイレの使用やそのメリットについては、顧客やスタッフに教育することが必要である。
また文化面や社会面からの考慮も必要である。
多くの人はトイレの習慣を変えたがらないものであり、どの社会にも排便に関するタブーが存在しているものである。
スタッフが利用者たちと議論すれば、問題点が浮かび上がってくるはずである。
もっとも、これには継続的な支援や教育が必要である。
通常、もしシステムが十分に管理され、通気が良好で好気性微生物が活動しコンポスト化を行っていれば無臭である(反対に嫌気性微生物が活動していれば悪臭を放つ)。
それを体験すれば、乾燥コンポストトイレに対する顧客の抵抗はほとんどなくなるはずである。
ライティング型下水に関するもう一つの重要課題は、油や油脂の廃棄問題である。
廃棄された油脂は、処理が十分になされないことが多く、環境にダメージを与える大きな危険性を持っている。
流しに油漉しを付けたり、大きな台所では油除去装置を使用して、他の廃棄物と混じらないようにすることが大切である。
油除去装置は、油と水が自然に分離する性質を利用して、普通に処分できる液体だけを分離するものだ。
油は、州や準州の環境保護局や地元の水道局が定める基準に従って廃棄しなければならない。
吸収性タオルを使えば陶磁器類に付いた油脂を取り除くことができるし、料理用油は何度でも再利用できる。
データを受け取ったり、サーバーとして継続的に使っているときには、モニターを消しておくこと。
モニターは最もライティング・エネルギーを消費するからである。
レーザープリンターは性能が高いが、インクジェットプリンターに比べ大量のライティング・エネルギーを消費する。
またコピー機の両面印刷機能を活用すれば、紙を節約することができる。
電子的にデータを蓄積したり送信することによって紙を節約することができる。
電子メールは世界中で非常によく使われるようになった電子通信手段である。
ファクスを送る場合も、紙に印刷せずにコンピューターから直接送信できる。
再生紙を購入し、それをリサイクルする前にもう一度紙裏も使うようにすること。
使用済みの紙を植物の根覆いに利用したりコンポスト化すれば、施設内でもリサイクルが可能である。
多くのプリンターやコピー機は再生紙を使用でき、また詰め替え用のインクカートリッジを使うこともできる。
リサイクル用に古い機器を回収するメーカーが増えているので、もし他のライティング・エネルギー基準がクリアされているなら、こうした中古メーカーと取り引きをするのもいいだろう。
まず、定義を見て、それがどういうものかはっきりさせましょう。
手元にあるテープ、The Power of Your Voice/Dr.CarolFleming(Simon&Schuster,Inc)は、イントネーションに関して次のように言っています。
Intonation is the way you change the pitch level of certain words for meaning.
Every sentense has an intonation contour.
When you change the contour you change the meaning.
(イントネーションとは、意味を持たせるために、ある単語の抑揚を変えることです。
すべての文には音調曲線があって、その曲線を変えることによって意味が変わってきます)
また、Cambridge International Dictionary Of English
(以下、CIDOE)は以下のように定義しています。
...the sound changes produced by the rise and fall of the voice when speaking,esp.
when this has an effect on the meaning of what is said...
(話す時に、声の上がり下がりによってもたらされる音の変化のことで、
特に話される内容の意味に影響を及ぼすもの)
用例は次のようになっています。
The end of a sentense that is not a question is usually marked by falling intonation.
(通常、疑問文ではない文の末尾は下り調子のイントネーションになります)
サンドイッチが欲しかったんじゃないかなあ」というニュアンスで、サンドイッチに関して言及しています。
このテープは、上記の例のあと、次のように締めくくっています。
Samewords,butintonationmakesabigdifference.ちなみに、fallingintonationの逆はrisingintonationになります。
これらの定義からも分かるように、リスニング時にはイントネーションに注意して聴くことが重要なのです。
イントネーションで言う"ピッチ"とは、声の上がり下がり(高低)のことです。
そして、音調曲線(contour)が緩やかなメロディーのようなものです。
文字だけでは分かりにくいと思いますが、斜体字(イタリック)近辺に音調曲線(メロディー)が出ていると考えてください。
意味の違いに注目してください。
ウインナーソーセージのようにつながっています。
つながっているから流れ(リズム)があるのです。
つながり=リズム=流れ
日本人の英語の発音にリズムがないと言われるのは、この音の連結が悪いためです。
どうしても単語ごとに発音する傾向にあるので、音が流れにくいのです。
だから、日本人が唄う英語の歌は、ネイティブ・スピーカーにはほとんど英語に聴こえないのです。
笑うに笑えない話があります。
あるブルースバンドが日本からメルボルンにやって来ました。
約1時間の演奏の間、会場にいたネイティブ・スピーカーの客誰ひとりとして、彼らが英語で唄っていたとは気付いていなかったのです1僕の妻もポカンとしていました。
これは、彼らの悪口を言っているのではありません。
ただ、音の連結やリズムが悪いとまったく通じないという、ひとつの例として取り上げてみました。
英語の音の連結とは、
単語と単語の音と音が"食い合って"ひとつの塊になること。
簡単な例を挙げて見ていきましょう。
皆さんがすでに知っている、"Nicetomeetyou."という挨拶文です。
おそらく、これだけは「ナイストゥミー±三立」と最後のtとyを連結して発音することは誰もが知っていると思います。
しかも、ッービートになっています。
では次に、「ナイス・トゥ・ミート・ユー」とバラバラに発音してみてください。
どうですか?何か、ロボットが話しているようなゴツゴツした感じがしませんか?やはり、「ナイストゥミーチュウ」とワン・ッーのリズムで発音した方が流れがあるのは明らかです。
では今度は、次の短い文を発音してみてください。
I'moutofhere.
これはよくアメリカ人が、ある場所から出て行く時に使う言葉です。
発音の方は、「アイム・アウト・オブ・ヒヤー」ではなく、音の連結で「アイマアウライアー」のように聞こえます。
下線部が強く発音されて、しかも一気に発音されます。
特に、ofはほとんど小さい「ア」にしか聞こえてきません。
outof→outa(アウラ)の感じです。
さて、ごく小さな例を挙げて説明しましたが、話される英語はこのように2つの単語がひとつの音のように連結し、これが連続します。
そこで、その連結を次のように捉えることがポイントになります。
音が連結した単語群→ひとつの大きな単語→ひと呼吸で発音
上の例で言うと、文全体がひとつの大きな単語と言えます。
このポイントはリスニングの基本にもなっていきます。
いくら文法的に正しい英語を使ったとしても、発音が悪いと通じないことがあります。
コミュニケーションをスムーズに運ぶためにも、正確な発音を身に付けることは重要です。
あとでも述べますが、発音の良し悪しはリスニングカにも深く影響していきます。
(1)英語備の購項!!
まず最初に、発音に関する基本事項を挙げておきたいと思います。
(i)発音は音楽と同じで、リズム感がひじょうに重要です。
ライティング式英語の強弱とイントネーションが奏でるメロディーは、まさに音楽そのものです。
当然、発音の習得にも"音感"が必要になってきます。
(ii)英語の正しい音は、お腹の底から息にサポートされて初めて出てきます。
だから、自然に声が大きくなります。
声の小さい人は発音と同時に"発声練習"も必要になります。
(i)は、英語の歌を唄う練習や、ネイティブが発音した文章を真似ることでコツがつかめるようになると思います。
英語の発音に規則的なリズムが存在している以上、音楽からリズムや発音を学ぶことは的を射ていると言えます。
しかし、これは得意・不得意があってすべての学習者に向いている勉強法ではないかもしれません。
詳しくは、Part?(次章)で述べることにします。
(ii)の発声練習は発音練習と共に大切なものです。
なぜなら、日本人の弱点は声が小さいところにあるからです。
一般に、声に芯がなく細いのです。
それに、ライティング式英語に対する自信のなさが加わるので、余計に声が前に出ていかなくなるのです。
ましてや発音が悪ければ、なおさら相手に聴き取りにくい英語になってしまいます。
僕は、極端に言えば、発音が良くて声が小さい人より、発音は今ひとつだけれど声が大きくて通る人の方がネイティブ・スピーカーには受けが良いと思います。
ネイティブ・スピーカーの発音で興味深いのは、彼らがヒソヒソ話をしている時です。
内緒のはずが、呼吸と息の強さからどうしても周りに聞こえてしまうのです。
これは、日本語でヒソヒソ話をする時と比べると呼吸(発声)法の違いが分かって面白いです。
真剣にいちから発音をやり直そうと思っている人は、発声練習も同時にやった方がよいと思います。
ぜひ、ボイス・トレーニングの本を1冊買ってきて、声と呼吸法の改善に取り組んでください。
(2)発音はサル真似から
では、どうすれば英語の発音がうまくなるのでしょうか?ライティング式英語の発音練習は、すべてを真似するところから始まります。
習字は、先生の書いたお手本を上から筆でなぞる練習からスタートします。
発音も同じです。
教材をお手本にして、耳と口を総動員しながら真似をするのがベストです。
サル真似と言われようが、ひとりで練習するのに遠慮はいりません。
そのためにも、優れた教材を見つけて購入してください。
どの教材を選べば良いのか分からなかったら、勉強仲間に尋ねてみるのも良いと思います。
インターネットで情報を入手することも可能です。
次に、理想的な発音教材とはどういうものなのかを考えてみたいと思います。
以下の4つの条件を満たしている必要があります。
(i)日本語とライティング式英語の音の違いが対比してあるようなもの。
(ii)英語の似たような音(実際には違う音ですが)がペアになっていて、その違いと共に練習できるもの。
(iii)真似できるスピードで録音されているもの。
(iv)音の連結やイントネーション、ストレスについて分かりやすく説明してあるもの。
では、(i)?(ii)は問題がないと思うので、(iv)についてもう少し詳しく見ていきましょう。
先に書いたように、この考え方は語感や基礎を鍛える意味では正しかったと自信を持って言えます。
しかし、肝心の「話す・書く」の力を身に付けるには、それだけでは不十分でした。
別に、英語を話したり書いたりすることを嫌っていたのではありませんが、アウトプットがおろそかになっていたのは事実です。
そこで、僕の反省から、ぜひ皆さんに守って欲しいことは、次の点です。
「読む・聴く」と「話す・書く」のバランスをきっちり取
ること!
僕はこの点で出遅れました。
今でも後悔しています。
だから、読者の皆さんには同じ失敗を繰り返して欲しくないという願いで一杯です。
「インプットとアウトプットのバランスをきっちり取る」というのは、これまで数多くの英語教育の専門家や実用英語のエキスパートたちが唱えてきていることで、何も目新しいことではありません。
しかし、頭では理解していても、いざ実行するとなると骨の折れることなのです。
なぜなら、人それぞれ得意な分野や苦手な分野があるからです。
食べ物の好き嫌いとよく似ています。
僕iの場合は、単純に「読む・聴く」の方が好きだったということです。
それに、一途な性格も手伝って、インプットー辺倒になってしまったのです。
やはり、どちらに傾いても英語の実力に歪みが出てきます。
バランスこのひと言に尽きます1現在、本場の英語の荒波に揉まれながら、インプットとアウトプットのバランスを取ることの重要性を身を持って痛感しています。
いていくということはない。
すでに、しっかりとした基礎ができ上がっている人は別ですが、基礎がまだ安定していない人にとっては何の得にもなりません。
とにかく、初級者の人は基礎固めに集中して、「狭く・深く・繰り返す」を教材の合い言葉にしてください。
振り返ってみると、僕の挫折の原因は3つあります。
(i)多くの教材に手を出し過ぎたこと。
(ii)先を急ぎ過ぎたこと。
(iii)量ばかり追いかけて肝心かなめの質(基礎)がおろそ
かになっていたこと。
思えば、どれも初心者が陥りやすい落とし穴です。
僕が"夢"から覚めた時には、すでに数年の年月が流れていました。
貴重な時間を無駄にしないために、皆さんにぜひお勧めしたいことがあります。
それは、
定期的に勉強方法の見直しをすること。
僕と同じような失敗をしていないかどうか、自問自答してみることです。
たまには立ち止まって、自分の勉強法を客観的に見ることはひじょうに大切です。
それに、修正は早い方が楽です。
もし、「いや、すべて問題ありませんが、それでも実力が伸びていきません」と言う人がいれば、次の質問に答えてみてください。
Q1これまで真剣に努力をしてきたと自信を持って言えま
すか?
Q2口先ばかりで実行することがおろそかになっていませ
んか?
いかがですか?いずれにしろ、こういう質問を時には自問してみる必要があります。
勉強方法は人によって違いますが、実力が付かないと嘆いている人は、やはり努力と実行の量が足りないということになります。
...しかし、僕はその後も多くの教材に手を出す羽目になります。
数々の失敗から教訓を得たと言っても、それは何年もあとに分かったことで、当時はまだ懲りていなかったのです。
タイトルや宣伝文句に引かれて、数々のテキストを買い続けました。
この誘惑を断ち切るのは大変です。
なぜなら、自分の周りを様々な教材で一杯にするだけで、英語が一気に上達するような錯覚に陥るからです。
僕は見事にその罠にはまってしまったのです。
そして挫折...
こうなると、もう挫折は時間の問題でした。
結局、何をやっても身に付かず、"伸び悩み"を理由に数年間勉強をやめてしまうことになります。
ライティング式英会話に出会うまで、落ちこぼれて挫折感を味わう暗い日々が続きました。
今から思えば、どの教材にしても、ただ漫然とやっていただけで素通りでした。
これでは、いくらお金と時間を犠牲にしても上達するわけがありません。
夢を見ていただけです。
そこで、僕はひとつの結論に達しました。
たったひとつの教材でも良いから、たっぷり時間をかけて
繰り返し繰り返しやるべきだった!
そんな単純なことが「結論」とは大袈裟だと思われるかもしれませんが、これは、僕がかなりの時間とお金を無駄にしてきたあとで、やっと気が付いた真理のようなものなのです。
言わば、強い後悔から生まれたものです。
僕の二の舞にならないためにも、特に初級者の方々は注意をしなければなりません。
なぜなら、この頃が最も先へ先へ行こうとする焦りが強いからです。ライティング式英語なら長続きします。
この誘惑に負けないために、次のことをしっかり理解しておく必要があります。
確か、いきなり中級のものを購入したと記憶しています。
僕はギターに関しては、自分のテクニックよりかなりレベルの高い演奏を聴いて練習していました。
英会話テープも同じように考えていたのです。
志は良かったのですが、これは大きな問違いでした。
考えてみると、僕のギター演奏には長年培われてきたしっかりした土台があります。
多少無理をしても身に付いていきます。
いや、逆に無理をしたから実力が伸びたと言えます。
一方、この頃の僕の英語レベルは初級もいいところです。
英語についての知識は、基礎力とは呼べないグラグラした状態です。
テキストを見ながらテープを聞くだけで、英語が自然にうまくなると勘違いしていた時期です。
これでは長続きするはずがありません。
しかし、特に「時制」と「語の並び方」(語順)を優先して注意深く勉強していく必要があります。
英語は日本語と違って、「時」(現在・過去・未来・完了形など)をはっきりと示さなければなりません。
時間の流れや動きと動詞の形の辻褄が合っていないといけないのです。
これは、何も時制に限ったことではなく、単数には単数形、複数には複数形というように、「数」に関してもきちっと合っている必要があるのです。
それに対して、日本語での会話を考えた場合、かなり曖昧な話し方になっていることに気が付きます。
これは、文化的な要因が大きいと思いますが、実は、このことが英語を話したり書いたりする時の足かせになってしまうのです。
大切なことは、日本語の曖昧な感覚や発想を英語の世界に引きずり込まないようにすることです。
これは、言うは易しですが、中・上級者になっても悩まされる点なので、初級者の方は今のうちにしっかりと頭に入れておいてください。
「時制」を学ぶ時のポイントは次の3点です。
(i)どういう時に、どの時制を使うのかしっかりと把握す
ること。
(II)それぞれの時制の意昧上の違いを確実に理解すること。
(iii)それぞれの時制が、普段僕らが使う日本語表現のどこ
に潜んでいるのか日本語からしっかりと理解すること。
詳しい解説は文法書に譲りますが、もし、手持ちの文法書にこの3点が用例と共に分かりやすく説明してなければ、あまり良いものとは言えません。
文法書を選ぶ時のガイドラインにもなると思います。
次に、「語順」をマスターするということは、主語と述語(+補語や目的語)の関係に細かく気を配るということです。
主語がどういう動詞に結びついていって、どういう補語や目的語を導くのかしっかりと見極める力を付けるということなのです。
文の中心になるのは動詞です。
その名の通り、動詞は他の単語に働きかけて文の型を決めてしまうのでひじょうに大切です。
そこで次に、動詞を辞書で調べる際の注意点を書き出してみます。
(i)まず、自動詞なのか他動詞なのかをはっきりさせる。
それによって、役割や文型に違いが出てくるので、ど
ちらなのかはっきりさせる必要があります。幸い、学
習英和辞典には(自)(他)と示してあるので判断しや
すいと思います。
(II)次に、その動詞がどんな前置詞や副詞を導くのか、そ
して、そのあとにどんな形の単語が続いていくのか
(もしくは、何もいらないのか)しっかり確認する。
(iii)動詞のあとに前置詞がくる場合(慣用句も含む)、その
次に名詞だけではなく、?ing形の動名詞が続くことも
あるので、それもしっかりチェックする。
要するに、
動詞を取り囲む"単語群"に深い注意を払う。
ということです。
これは取りも直さず、辞書をしっかり読み込むということなのです。
辞書の活用方法に関しては、「辞書で英語をモノにする方法」のコーナーで詳しく述べることにします。
